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菅義偉内閣が9月16日、発足した。これに先立つ自民党役員人事では総裁選で支持を得た5派閥に配慮しつつ信頼を寄せるベテランを配置。閣僚も継続性や安定性を重視した手堅い布陣となった。約7年8カ月ぶりとなる首相の交代劇。一連の人事や記者会見での発言から透ける新首相の思惑とは。

(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 「安倍内閣が進めてきた取り組みをしっかり継承し、前に進めていくことが私に課せられた使命だ」

 9月16日夜、新内閣発足後の記者会見。安倍晋三前首相の辞任に伴い新たに首相官邸の主となった菅義偉首相はこう強調した。

新型コロナ対応と経済再生を最優先

 安倍内閣の方針を引き継ぎ、まずは新型コロナウイルスへの対応と経済再生を最優先課題に掲げ、「国民のために働く内閣をつくる」と強調した菅首相。その前提となるのが、しっかりとした政権基盤と安定的な国会運営だ。環境整備の一歩となる人事は菅首相の基本姿勢が色濃く反映されたものとなった。

 閣僚人事に先立ち15日に決めた自民党の役員人事。菅首相は総裁選で自らを支持した5派閥に枢要ポストを割り振った。

 いち早く支持を表明した二階派会長の二階俊博幹事長を再任し、総務会長に麻生派の佐藤勉氏を起用。政調会長には細田派の下村博文氏、選挙対策委員長は竹下派の山口泰明氏をそれぞれ起用した。国会対策委員長には石原派の森山𥙿氏を再任した。

 「論功行賞とは、つゆほども思っていないし、そんな事実は全くない」

 再任が決まった後の15日の記者会見。二階氏は「菅氏を支持した派閥に対する論功行賞だと認識しているか」との記者からの質問に対し、色をなしてこう否定した。