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 安倍晋三首相は8月28日、辞任する意向を固め、同日夕の記者会見で正式に表明した。持病の悪化で国政に支障が出る事態は避けたいと判断した。首相の自民党総裁としての任期は2021年9月末までで、任期を1年余り残しての辞任となる。自民党は政治空白を避けるため速やかに後継総裁選びに着手する。総裁選は9月にも実施される見通しだ。

(写真:ロイター/アフロ)

 首相には潰瘍性大腸炎の持病がある。第1次政権では健康状態の悪化を理由に突如辞任を表明、政権はわずか1年で瓦解した経緯がある。

 首相は28日の会見で、「7月半ば頃から体調に異変が生じ、8月上旬に潰瘍性大腸炎の再発を確認した。現在の薬に加え、さらに新しい薬の投与を受けることにし、今週24日の再検査では、薬の効果は確認されたものの、継続的な処方が必要であり、予断は許さない状況だ」と説明した。その上で、「病気と治療を抱え、体力が万全でない苦痛の中、大切な政治判断を誤る、結果を出せないことがあってはならない。国民の皆様の負託に、自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断した」と語った。

 この時期の辞任表明については、7月以降の新型コロナの感染拡大が減少傾向へと転じたことや、今後に向けた対策を取りまとめたことを理由に挙げて、「新体制に移行するには、このタイミングしかない」と語った。そして、「様々な政策が実現途上にあり、コロナ禍の中、職を辞することについて国民の皆様に心よりお詫び申し上げる」と謝罪した。

 安倍首相は今年の夏、新型コロナウイルスへの対応などのため連日執務にあたり、最近は周囲に疲れや体調への不安を漏らしていた。今回も、持病の悪化など健康不安がささやかれる中、政府・与党内からは首相の体調を心配する声が出ていた。

「国政に支障が出る事態は避けたい」

 8月17日、24日と東京都内の病院で検診を受け、24日の受診後には記者団に「体調管理に万全を期し、これからまた仕事を頑張りたい」と述べていた。

 こうした中、安倍首相は検査の結果、持病の潰瘍性大腸炎が悪化しているのが分かったことなどから国政に支障が出る事態は避けたいとして、首相を辞任することを決断した。自民党の次期総裁が選出されるまで執務を続ける意向だ。