自民党は8月26日、党総裁選の日程を9月17日告示、29日投開票にすると決めた。岸田文雄前政調会長が出馬を表明。菅義偉首相も再選を目指して立候補する考えを示しており、3年ぶりに国会議員票と全国の党員・党友票で争う選挙になる。首相の求心力低下で選挙基盤の弱い中堅・若手議員らからは「菅首相の下では衆院選を戦えない」との声が強まっている。昨年秋の総裁選で首相を支持した主要派閥は慎重に対応を見極める構えで、衆院選に危機感を抱く若手議員の動向や党員票の行方が勝敗を左右しそうだ。

 菅義偉首相の自民党総裁任期は9月30日までで、衆院議員の任期満了は10月21日に迫っている。これまで首相は東京パラリンピックが閉幕する9月5日の後に速やかに衆院解散に踏み切り、総裁選は先送りしたうえで10月の衆院選で勝利し、その後の総裁選を無投票で乗り切る戦略を描いていた。

 だが、新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、政府は東京都や大阪府などに出している緊急事態宣言の対象を追加したうえ9月12日まで延長。8月25日には新たに北海道、愛知など8道県も宣言の対象に追加した。

 宣言期間中は新型コロナ対応に注力せざるを得ない。また、東京都議選で自民党が苦戦したのに続き、8月22日投開票の横浜市長選で菅首相が支援した元国家公安委員長の小此木八郎氏が惨敗し、支持率低迷にあえぐ首相の求心力はさらに低下した。

「横浜惨敗」で首相の求心力急降下

 こうした状況を踏まえ、自民党執行部は衆院選前に事実上の首相を選ぶ総裁選を行うことで国民の関心を集め、態勢の立て直しを図るべきだと判断した。次期衆院選は10月以降になる見通しだ。

 8月26日に決まった総裁選の日程は9月17日告示、29日投開票となる。安倍晋三前首相の辞任表明を受けて昨年9月に行われた総裁選は、緊急時の規定に基づき全国一斉の党員・党友投票は見送られた。今回は国会議員1人1票の「国会議員票」383票と、全国の党員らによる投票で配分が決まる「党員・党友票」383票の計766票で争われる。

 総裁選日程の決定を受け、立候補に向けた動きが本格化し出した。既に再選への意欲を表明している首相はこれまでの実績に加え、新たな政策を盛り込んだ公約作りを急ぐ。衆院選に向け、9月早々に政府と党に対し、新たな経済対策の検討を指示する案が浮上している。

 対抗馬の擁立も進む。8月26日には岸田文雄前政調会長が立候補を表明。同日の記者会見で、岸田氏は「国民の声に耳を澄まし、政治生命をかけて新しい選択肢を示す」と語った。党のガバナンス改革を進めるため、党役員に中堅若手を登用し、党役員任期を1期1年で連続3期までに制限する案を示した。

岸田文雄前政調会長は8月26日、自民党総裁選への立候補を表明した(写真:つのだよしお/アフロ)
岸田文雄前政調会長は8月26日、自民党総裁選への立候補を表明した(写真:つのだよしお/アフロ)

 「権力の集中と惰性を防ぐ」とも語り、2016年8月から5年にわたり幹事長を務める二階俊博氏を暗に問題視した。二階氏の党運営に批判的な層を取り込む狙いが透ける。

続きを読む 2/3 「権力の集中を防ぐ」と岸田氏

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