安倍晋三首相の連続在任日数が24日、佐藤栄作元首相を抜いて歴代最長となった。2019年11月には第1次政権と合わせた通算在任日数でも憲政史上最長となっていた。最近も健康不安説が取り沙汰されるが、金字塔の陰では数十年にわたる持病との闘いが続いている。

(写真:共同通信)

  「7年8カ月、国民に約束した政策を実行し、結果を出すため1日1日、全身全霊を傾けてきた。その積み重ねの上に今日の日を迎えることができたのだろうと考えている。全てはこれまでの国政選挙で力強い支持をいただいた国民の皆様のおかげだ」

 安倍晋三首相は24日、連続在任日数が同日で2799日となり、自身の大叔父である佐藤栄作元首相を抜いて歴代最長となったことについて、感慨深げにこう話した。

 安倍首相は2006年9月、小泉純一郎元首相の後を受け52歳で初の戦後生まれの宰相となった。「戦後レジームからの脱却」を旗頭に、憲法改正の手続きを定めた国民投票法の制定や教育基本法の改正、防衛庁の省昇格など保守色の濃い政策を実現した。

 だが、閣僚の相次ぐスキャンダルや首相官邸内の不協和音などから求心力が急降下。2007年の参院選で自民が歴史的惨敗を喫してから程なく、持病の潰瘍性大腸炎の悪化などを理由に突然辞任を表明。第1次政権はわずか1年で瓦解した。

第1次政権瓦解後、「一時は引退も覚悟」

 「一時は引退も覚悟した」という安倍首相。その後、地元や全国へのおわび行脚などを通じて失地回復に取り組む一方、自民党の野党転落後は憲法改正や教育再生などを巡って持論を積極的に発信した。

 2012年になると安倍首相の政治信条に共鳴する橋下徹・大阪市長(当時)との相乗効果で政界での安倍首相の存在感は急速に回復。周囲の反対を押し切って出馬した同年9月の自民党総裁選では、民主党政権の失政と外交危機が安倍首相への追い風となり、党所属国会議員による決選投票で石破茂元幹事長を逆転して再び総裁の座をたぐり寄せた。

 そして12年12月の衆院選で圧勝し、安倍首相は辞任から5年余りで政権に復帰した。短命に終わった1次政権の反省から理念先行の政治スタイルを封印。大胆な金融緩和と機動的な財政支出、成長戦略による「アベノミクス」を掲げ、まずは国民が求める経済再生に最優先で取り組んだ。堅調な国内経済や安定した政権運営、さらに「多弱」と称される野党の分立状態が続いていることを背景に、12年12月の衆院選も含め国政選挙で6連勝を飾った。

安定政権で2度の消費増税実現

 「安倍1強」と評された強い政権基盤の下、7年8カ月にわたり政権を維持してきた。歴代政権の鬼門とされた消費増税については8%に引き上げた後、2度延期したものの、慎重に10%への引き上げを実現した。在任中に2度消費税率を引き上げたのは安倍首相が初となる。財務省幹部は「首相の最大のレガシー(政治的遺産)は2度の消費増税だと思う」と指摘する。

 首相の自民党総裁としての任期は21年9月末まで。残り任期1年余りの間に、新型コロナウイルス対策や経済回復、憲法改正などの課題をはじめ政権の総仕上げに取り組む方針だ。

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