東京都議選が7月4日に投開票され、自民党は第1党を奪還したが、新型コロナウイルス対応などへの批判が根強く伸び悩んだ。選挙協力を復活した公明党と合わせても過半数に届かなかった。小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は議席を減らしたが、自民に拮抗する勢力を確保した。都議選で予想外の苦戦を強いられた菅義偉首相は東京五輪・パラリンピックの成功を追い風に今年9月中にも衆院解散に踏み切る戦略を描いており、背水の陣で五輪対応に注力する構えだ。ただ新型コロナの感染再拡大やワクチン接種にブレーキがかかるなど課題が山積し、難路が続く。

菅義偉首相は5日、都議選の結果について「自公で過半数を実現できなかったことは謙虚に受け止めさせていただきたい」と述べた(写真:共同通信)
菅義偉首相は5日、都議選の結果について「自公で過半数を実現できなかったことは謙虚に受け止めさせていただきたい」と述べた(写真:共同通信)

 任期満了に伴う今回の東京都議選(定数127)は小池百合子都知事が特別顧問を務める第1党「都民ファーストの会」と、過半数の獲得を目指す自民、公明両党との議席争いが焦点だった。

 都議選の結果がその後の国政選挙に大きく影響した例もある。衆院議員の任期満了は10月21日で、菅義偉首相はこの日までに衆院解散・総選挙を行う考えを表明している。このため、各党とも今回の都議選を衆院選の前哨戦と位置づけ、国政選挙並みの態勢で選挙戦を展開した。新型コロナウイルスの感染対策や東京五輪・パラリンピックへの対応が主な争点となった。

 前回2017年の都議選で23議席と歴史的惨敗に沈んだ自民党。今回は前回の都議選で袂を分かった公明党との選挙協力を復活させた効果もあり33議席を獲得して第1党に返り咲いた。だが、公明と合わせても目標とした過半数には届かず、過去2番目に少ない議席にとどまった。

 都議選序盤に自民が行った情勢調査で自民は50議席程度をうかがうとの結果が出ていた。想定外の伸び悩みの背景について、自民幹部は「政府の新型コロナ対応や東京五輪開催への批判が予想以上に厳しかったことに加え、小池都知事が告示直前の6月22日に過労で入院し、同情票が都民ファーストに流れたことも大きかった」と表情を曇らす。公明は1993年から続いている候補者の「全員当選」を果たした。

 一方、都民ファーストは前回の初陣で当時代表だった小池氏の全面支援を受けて公認・推薦候補計55人が当選し、都議会第1党となったが、今回は31議席にとどまった。動向が注目された小池知事は7月1日に公務に復帰し、選挙戦最終日の3日に都民ファースト候補者の応援に入った程度だった。それでも選挙戦終盤で都民ファーストが盛り返し、第2勢力に踏みとどまった。

 7月23日の開会を予定する東京五輪について、自公が開催を進める立場を取ったのに対し、「無観客開催」を掲げた都民ファーストへの支持が次第に広がった。「反自民」の受け皿となる一方、小池都政への一定の評価も議席維持につながったとみられ、小池氏は政治的影響力を改めて示した格好だ。小池氏には国政転出の観測がくすぶっており、今後の動きが注目される。

 共産党と立憲民主党は候補者を競合させないため一部の選挙区ですみ分けを行ったことが功を奏し、共に議席を伸ばした。東京五輪について、共産は「中止」、立民は「延期か中止」を掲げた。共産、立民両党幹部はこうした訴えが一定の理解を得たと分析している。

 第1党に返り咲いたものの、自公での過半数確保という最低限の目標をクリアできず、自民内では衆院選を前に危機感が広がっている。自民の選挙対策関係者は「内容は惨敗。衆院選も雲行きが怪しい」と漏らす。

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