政治改革の前進や持続可能な財政・社会保障制度など国家的課題について提言する「令和国民会議」(令和臨調)が6月19日、東京都内で発足大会を開いた。経済界や学識経験者、労働界ら民間主体で議論を深め、先送りされてきた重要課題について改革を前に進めるために合意形成と世論喚起に取り組む。船出となったこの日は22日の参院選公示を前に、岸田文雄首相(自民党総裁)や与野党6党の党首が出席し、目指す社会像や財政などを巡って意見を交わした。

令和臨調は1990年代に民間有志が参加して選挙制度や政治資金制度の改革を訴えた「政治改革推進協議会」(民間政治臨調)の令和版の位置づけとなる。民間政治臨調の取り組みは小選挙区比例代表並立制などの導入につながった。
政治改革論議をリードした民間政治臨調
民間政治臨調はその後「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)に衣替えし、内閣主導の政策決定の推進や政権公約(マニフェスト)の導入などを提唱したが、近年は活動休止状態だった。民間が引っ張る形で政治改革に取り組む臨調の試みは3度目の挑戦となる。
令和臨調には経済界や労働界、学識者など約100人のメンバーが参加する。共同代表には茂木友三郎・キッコーマン名誉会長や小林喜光・三菱ケミカルホールディングス取締役、佐々木毅・元東京大学総長、増田寛也・日本郵政社長が就任した。
今後は平成以来先送りされてきた課題の中で、主に①衆参両院関係をはじめとする国会改革や官僚の働き方改革などの統治機構改革、②持続可能な財政・社会保障制度のあり方、③ポストコロナ時代の新たな国土構想――について論議し、提言をまとめる方針だ。
今、なぜ令和臨調の出番なのか。茂木氏は、日本は人口減少、巨額の財政赤字、経済の長期停滞などに直面して相対的な地盤沈下が著しいと指摘。「先送りされてきた課題に今取り組まないと、日本社会と民主主義は危機的な事態を迎えかねない。そうした強い意識が背景にある」と臨調立ち上げの理由を語る。
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