第208通常国会は6月15日、会期末を迎える。夏の参院選を控え政府・与党は安全運転に徹し、賛否が割れるような政策テーマの検討は軒並み参院選後に先送りした。政府が決定した新たな経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)には長期的な歳出拡大につながる項目が幾つも明記され、秋以降に本格化する政権内の論議は難航が予想される。中でも防衛力の抜本強化、脱炭素投資、少子化対策・子育て支援の予算規模と財源、国民負担がどれだけ増えるのかが大きな焦点になりそうだ。

(写真=AFP/アフロ)
(写真=AFP/アフロ)

 夏の参院選を控えた今国会。岸田文雄首相や与党幹部が最重視したのは「安全運転」だった。野党の追及や有権者からの批判を招かないように政府提出法案を経済安全保障推進法など早期成立が必要な法案に絞り込み、賛否が割れるような政策テーマの検討は軒並み参院選後に先送りした。

 自民党のある幹部は「リスク回避に目配りしつつ、新型コロナウイルス対策やロシアによるウクライナ侵攻に伴う国内外の対応を中心に無難な政権運営に徹した」と評する。

 もっとも、岸田政権に対しては与野党議員や霞が関の経済官庁幹部、経済界などから「具体的な政策がほとんど動いていない」といった批判的な意見を聞くことが少なくない。日本維新の会の馬場伸幸共同代表が国会で「無策無敵内閣との報道もある。具体策をやっていないから敵もいないという意味だ」と語り、岸田首相が苦笑する一幕もあった。

 それでも報道各社の世論調査で内閣支持率は高水準を維持している。自民党と国民民主党が接近したことで野党間の溝が深まり、野党の選挙協力は過去2回の参院選と比べ進んでいない。自民党内では7月の参院選に楽観論が広がっている。

 「やってみるまでは分からないのが選挙だ」(自民のベテラン議員)といわれるが、政府・与党の関心は「参院選後」に移りつつある。予定される内閣改造・自民党役員人事もそうだが、主要な政策テーマの制度設計や関連予算の規模・財源などを巡る論議が本格化するためだ。

 政府は6月7日に新たな経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)と、成長戦略を盛り込んだ「新しい資本主義」の実行計画を決定した。「人への投資と分配」「資産所得倍増」「科学技術・イノベーションへの投資」など岸田首相肝いりの政策を柱に据えたが、骨太の方針には長期的な歳出拡大につながる項目が幾つも明記された。

 政権内で特に大きな政策課題と位置づけられているのが、防衛力の抜本強化、脱炭素投資、子ども・子育て支援の3つだ。それぞれの予算規模と裏付けとなる財源、そして国民負担がどれだけ増えるのかを巡る調整が難航必至なためだ。

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