日経ビジネスは6月5日、新型コロナウイルス対策を担当する西村康稔経済財政・再生相を招いたウェビナーを緊急開催した。西村氏は公的分野のデジタル化やテレワークなど刷新の動きを後戻りさせないよう集中改革を進める意向を表明。日本企業のサプライチェーン(供給網)多角化へ、近く一部のTPP参加国と意見交換する考えも示した。

新型コロナウイルスへの対応を巡っては、緊急事態宣言の発出と全面解除、感染拡大防止と経済社会活動の両立を図ろうという現在に至るまで、PCR検査の体制や医療提供体制、国と都道府県知事との調整など多くの問題や課題が指摘されてきました。一連の対応を振り返って、最も苦労された点は何でしょうか。

西村康稔経済財政・再生相(以下、西村氏):3月6日に新型コロナ対策担当に就任し、あっという間に3カ月が経過しました。東京や大阪など7都府県へ緊急事態宣言を発出した4月7日、その前日の6日などは特に緊迫していましたね。

第2波への対応と経済正常化とのバランスが問われる(写真:的野弘路、以下も)

 3月20~22日の3連休は良い天気で、しかも都内などは桜が見ごろ。人出が増え、そこから10日から2週間が経過して感染者が急増したため、安倍晋三首相や専門家の皆さんと連日状況を分析し、宣言の発出に踏み切りました。

 一番悩んだのは、国民の皆さんに果たして人との接触機会の8割削減をお願いしても受け入れられるのだろうかということでした。そもそも意味も分からないだろうと思いました。

 ですが、首相から「人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減」をお願いしましたところ、欧米のようにロックダウン(都市封鎖)せず、何の強制力もない法体系の中で、一時は新幹線、飛行機で9割以上乗客数が減り、主要駅で乗り降りする方々も大きく減りました。まさに国民の皆さんの協力のおかげでここまで新規感染者の数を減らすことができたと思っています。

PCR検査は「ある程度幅広く実施していた」

日本は感染者数・死者数ともに相対的に少ないですが、国内外からPCR検査不足が問題視されてきました。

西村氏:SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)を経験した韓国、台湾などと異なり、日本はPCR検査体制などの強化にあまり取り組んできませんでした。このため限られた資源をまずは高齢者など重症化リスクのある方々に集中しました。

 この方針に加え、高い水準を誇る医療現場の頑張りや、世界有数の保有台数があるコンピューター断層撮影装置(CT)による画像診断が重症者の把握や対応などで有効だったことなどが死者数の少なさの要因に挙げられます。

 もちろん、必要がある人がすぐに検査を受けられなかったことへの批判は受け止めなければいけない部分があります。ただ、4月段階で日本のPCR検査の陽性率は5.8%で、多くの検査を実施したドイツの約6%とほぼ同水準でした。

 重症化するリスクがある方々などに検査対象を限定したならもっと高い陽性率になったはずです。この数字はある程度幅広く検査をしていた証しになります。こうしたことをもっと対外的に説明、発信するよう対策を強化しているところです。

北九州市での感染拡大第2波、東京でも独自の警戒情報「東京アラート」が発動されるなど、「コロナとの共存」は息の長い闘いだと実感させられています。緊急事態宣言の再発出に至らないよう、小さな感染流行でとどめるための取り組みのポイントは何でしょう。

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