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政府が新型コロナウイルスの感染拡大に対応する2020年度第2次補正予算案を決定した。安倍晋三首相は5月25日の緊急事態宣言全面解除による経済活動の本格的再開とセットで経済と雇用を下支えし、大きく揺らいだ政権基盤の立て直しにつなげるシナリオを描く。だが一連の企業・家計支援策はスピード感を欠くと受け止められており、感染再拡大の懸念も含め、先行きには不透明感が漂う。

(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 1人当たり一律10万円給付などに対応する事業規模117兆円超の2020年度第1次補正予算は4月30日に成立済みだ。困窮する家計や企業が急増する一方、緊急事態宣言の解除後も経済停滞がしばらく続く見通しであることを踏まえ、それから1カ月足らずで大型の追加対策を迫られることになった。

 第2次補正予算案の一般会計からの追加歳出額は31兆9114億円で1次補正予算を上回る。民間融資などを加えた事業規模は117兆1000億円となる。

 事業規模は1次補正などと合わせると約234兆円に達する。安倍晋三首相は5月27日、首相官邸で開いた政府・与党政策懇談会で「GDP(国内総生産)の4割に上る世界最大の対策によって100年に1度の危機から日本経済を守り抜いていく」と強調した。

 政府・与党は6月17日までの今通常国会中の成立を目指す。

家賃の3分の2を半年間給付する新制度を創設

 2次補正案の柱の1つが外出自粛で影響を受けた企業などへの追加支援策だ。家賃の支払いが困難な事業者への支援策として、売り上げが一定程度落ち込んだ事業者を対象に原則、賃料の3分の2を半年分給付する新たな制度を設ける。

 中小企業や個人事業主などに最大200万円を給付する「持続化給付金」の対象を拡大し、日本政策金融公庫や民間の実質無利子・無担保融資を拡充するなど資金繰り支援もテコ入れする。

 雇用維持や生活の下支え策として、休業手当を支援する雇用調整助成金の上限を1人当たり日額1万5000円に引き上げる。さらに、勤め先から休業手当を受け取れない人向けに月額33万円を上限に支援金を給付する制度も創設する。

 児童扶養手当を受給する低所得のひとり親世帯に5万円を支給。第2子以降は3万円を加算する。アルバイトなどができずに困窮する学生を支援するため、授業料を減免する大学などに助成金を出す。また、医療従事者などに慰労金として最大20万円を支給する。

 1次補正で1兆円を計上した自治体向けの地方創生臨時交付金は2兆円増額する。さらに、地域金融機関の経営健全化と中小企業の資金繰り支援を後押しするため金融機能強化法を改正し、注入できる公的資金の枠を拡大するとともに条件も緩和する方針だ。

 政府関係者によると、安倍首相は今月末の期限を待たずに東京など5都道県への緊急事態宣言を25日に解除し、その2日後に2次補正案を決定するスケジュールにこだわりを見せたという。背景にあるのが、経済への深刻な影響と政権への国民の不満の高まりに対する危機感だ。

 「我が国では罰則を伴う強制的な外出規制などを実施することはできない。それでも、日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で今回の流行をほぼ収束させることができた。日本モデルの力を示したと思う」

 25日の記者会見。安倍首相は人口当たりの感染者数や死亡者数が主要先進国の中で少ないことも引き合いにこう強調し、国民の協力に謝意を示した。政府の一連の対策の正当性もアピールした形だが、政権への世論の風当たりは5月になってから一段と強まっている。