政府は新型コロナウイルスの緊急事態宣言を沖縄県にも出し、対象は10都道府県に広がった。沖縄を除く9都道府県については宣言の延長が確実視される。ワクチン接種の遅れや東京五輪・パラリンピックを予定通り開催する方針への厳しい見方から内閣支持率は下落し、菅義偉首相は強い逆風に見舞われている。もっとも、自民党内からの首相批判は控えめで、「菅降ろし」が起きる気配はない。その内情とは。

 「まず、感染拡大阻止のために全力で対策を講じることが極めて重要だ。そして、感染状況を見極めて月末にも判断する」

 5月21日。政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で緊急事態宣言を沖縄県にも出すことを決めた後、菅義偉首相は31日に期限を迎える9都道府県への緊急事態宣言の延長の可能性についてこう説明した。

 宣言は専門家が示す4段階の感染状況のうち最も深刻な「ステージ4」が発令の目安になる。宣言の解除には感染者数や病床使用率などの指標を「ステージ3」以下まで下げる必要がある。

「延長やむなし」が大勢

 西村康稔経済財政・再生相は5月21日の記者会見で、関西圏を中心に「感染者の数は減少傾向が見えつつある」と語った。だが、病床の逼迫が続いていることなどから専門家からは9都道府県への宣言解除に否定的な声が相次いでいる。

 5月14日の政府分科会で専門家に異論を突き付けられ、当初の方針を変更して北海道、広島、岡山に宣言を出した経緯もある。政府内では専門家の見解を踏まえて「宣言の延長はやむなし」との見方が大勢だ。

 政権幹部の関心は延長する場合の期限に移っている。政府は7月23日に開幕する東京五輪を予定通り開催する方針を崩していない。開幕が迫る中、早期に宣言を解除すれば9月初旬までの五輪・パラリンピック期間中に感染力の高い変異株により感染が再拡大し、政府が目指す「安心・安全の大会」運営に支障が生じかねない。

 首相官邸からは「日本国内の熱気が冷め、政権の追い風になる『五輪効果』が限定的になってしまう事態は避けたい」(首相周辺)との声も漏れる。

 沖縄県への宣言の実施期間は6月20日まで。現時点で、政府内では宣言を延長する場合、期限を沖縄と合わせる案が有力視されている。政府は今週中に延長の有無と、延長する場合の期限を判断する方針だ。

 宣言の延長と対象地域の拡大を繰り返すなど新型コロナ対応に苦慮する菅政権への逆風は一段と強まっている。報道各社の5月の世論調査で内閣支持率は軒並み下落し、再び不支持が支持を上回る状況に陥った。

 いずれの調査も政府のコロナ対応とワクチン接種の遅れへの厳しい評価が顕著だ。ある関東選出の自民党若手議員は「支持率の数字以上にコロナ対応を巡る政府・与党への有権者の不満が高まっていると痛感する」と危機感をあらわにする。

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