新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受け、東京都による休業要請が11日始まった。急を要するというのになぜ7日の宣言から時間がかかったのか。難航した国と都の調整などから様々な課題が浮かび上がる。

「2週間も待たなければいけないのかどうかが、一番大きな問題だった」
東京都の小池百合子知事は休業要請内容を説明する10日の記者会見で、国との調整のポイントをこう語った。
国との調整を経て、都が改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき11日から休業の要請対象としたのは、映画館やライブハウス、スポーツクラブなどのほか、床面積が1000平方メートルを超える大学、商業施設など。特措法の対象とはならない100平方メートル超の学習塾や生活必需品を取り扱わない店舗にも休業への協力を独自に依頼した。
飲食店に休業要請はしないものの、営業時間を午前5時~午後8時とし、酒類の提供は午後7時までとするよう求めた。スーパーや病院、ホームセンター、理美容業などは業務を続けてもらう。
要請に応じた中小事業者には協力金を給付する。1店舗のみを運営する事業者は50万円、2店舗以上の場合は100万円を支給するというものだ。
都は7日の緊急事態宣言発令直後の実施を目指し、休業を要請する具体的な業種や施設について今月6日までに案をまとめ、政府側に提示していた。
しかし、そこから政府と都の調整が難航。要請内容が決まるまで数日を要し、当初案から対象業種が変わったことで飲食業など一部の業者が混乱する事態を招いた。
「社長から中間管理職へ」
「地域の特性に合わせた対策を決める権限は都道府県知事に与えられたもので、代表取締役社長かと思っていたら、天の声がいろいろ聞こえてきて中間管理職になったような感じだった」
10日の会見で小池氏はこう皮肉ってみせた。「天の声」が政府を指すのは言うまでもない。
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