首相が頼る「神奈川組」

 まずは以前にもこのコラムで触れた首相と同じ神奈川県選出の閣僚らによる支援強化と首相による活用だ。

 昨年12月半ば以降、河野太郎規制改革相、小泉進次郎環境相、小此木八郎防災相らが孤立気味だった首相の下を訪れ、時に議員宿舎でも懇談する機会を増やした。安倍晋三前首相に近い萩生田光一文部科学相もしばしば官邸を訪れるなどして、首相を支える姿勢を見せている。

 そうした中、首相は1月半ばにワクチン担当相を新設して河野氏を起用。3月には小泉氏にもやはり新設した気候変動問題担当相を兼務させた。発信力に定評がある河野氏や小泉氏を前面に押し出し、政権の浮揚材料にする狙いだ。

 また、首相官邸と霞が関の主要経済官庁との政策調整も一時よりスムーズになりつつある。

 安倍前政権の首相官邸では経済産業省出身で安倍氏の最側近だった今井尚哉前首相補佐官兼首相秘書官らと官房長官の菅氏がバランスを取りながら役割分担し、広範な政策や課題を立案・調整していた。

 さらに、時には安倍氏に対し今井氏や菅氏が直言し、政権内での「嫌われ役」になることもいとわなかった。今井氏の出身母体である経産省も様々な形で政権を下支えした。

 これに対し、「菅首相は自分で全部決めればいいと考えてスタートしたが、次第に菅首相に菅長官や今井秘書官のような存在がいない弊害があらわになった」(自民のベテラン議員)。

 また、首相は6人の事務秘書官のうち5人は自身の官房長官時代の秘書官を起用した。だが、政権内では「年次がまだ若く、各省幹部に指示ができず、首相に意見も言えない」といった批判が強まっていた。

 官邸と政権内の調整や意思決定の目詰まりが指摘される中、首相が官邸機能を補強するため政務担当の首相秘書官に起用したのが財務省出身の寺岡光博氏だ。今年1月1日付で就任した寺岡氏は官房長官時代の首相の秘書官を3年程度経験。霞が関では農林水産物輸出の推進やインバウンド観光の拡大といった長官時代に菅氏が推進した政策テーマを後押ししたことでも知られている。

 直前まで内閣官房の内閣審議官を務め、官邸や政権内の政策調整を熟知する寺岡氏。政務秘書官に就任後は、首相の国会答弁や演説などの守りを固めるとともに、各省庁との調整などで手腕を発揮しつつある。

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