目標としていた3月中に2021年度予算が成立し、一息ついた菅義偉政権。一時は目詰まり状態と指摘された政府内の政策調整も次第に軌道に乗りつつある。今年秋までに実施される衆院選に向け、首相は4月中旬に開く日米首脳会談や肝いりの政策で実績を積み重ねたい考え。主要閣僚に加え、信頼を寄せる経済官庁キーマンの存在感が一段と増しそうだ。

(写真:つのだよしお/アフロ)
(写真:つのだよしお/アフロ)

 「一時はどうなるかと思ったが、野党のスキャンダル追及が思ったよりダメージにならなかったのが大きい」

 前半国会の最大の焦点である2021年度予算が、目標としていた3月中に成立し、菅義偉首相の側近は安堵の表情を浮かべながらこう語る。

2021年度予算は順調に成立

 予算案審議で野党は政府の新型コロナウイルス対応に加え自民、公明両党議員の銀座飲食店訪問問題、総務省接待問題などを追及。山田真貴子前内閣広報官や谷脇康彦前総務審議官が辞職するなどの事態となり、山田氏や谷脇氏らを重用してきた首相にとって痛手となった。

 ただ、報道各社の世論調査で野党への支持は低迷しており、一連のスキャンダル追及が功を奏したとは言いがたい。自民党幹部は「週刊誌報道に基づく質問が多い。あれでは野党への国民の期待は広がらない」と言い切る。

 この間、政府は1月8日から首都圏の1都3県への緊急事態宣言を発令。同14日から大阪や福岡など7府県にも宣言を出し、1都3県への宣言は2度延長されて3月21日まで2カ月半に及んだ。

 報道各社の世論調査では、新規感染者数の推移が内閣支持率や政府の新型コロナ対応への評価と連動する傾向が鮮明だ。今年2月の各社の調査以降、感染者数の減少とワクチン接種への期待を背景に支持率は持ち直しつつある。

 ただ、このところの感染者の再増加を受け政府・与党は危機感を募らせている。政府は4月5日から大阪、兵庫、宮城の1府2県で緊急事態宣言に準じる措置を取る「まん延防止等重点措置」を適用した。

 これに関連し、菅首相は4日のフジテレビ番組で、対象地域の追加について「必要であれば、ちゅうちょなくと思っている」と述べ、状況に応じて機動的に対応する考えを示した。

 政府が新型コロナ対応の切り札と位置づけるワクチン接種は4月12日から高齢者向けも始まる。首相はその後訪米してバイデン米大統領との首脳会談に臨む予定だ。さらにデジタル庁創設を柱とするデジタル改革関連法案の4月中の成立を見込むなど、首相はコロナ対応と並行して政策面で具体的な成果を積み上げ、今年秋までに実施される衆院選への備えを進める構えだ。

 デジタル庁創設や2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにするための対策推進、子育て支援策の拡充……。コロナ対応で世論の批判を浴び、国会対応で防戦に追われる中、首相はこうした自らの肝いり政策を推進し、政府内で調整を円滑に進めるための体制づくりを少しずつ進めてきた。

続きを読む 2/4 首相が頼る「神奈川組」

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