脱炭素やデジタルトランスフォーメーション(DX)、経済安全保障など、日本の経済社会や企業の経営環境に変革の波が押し寄せている。日本経済の先行きを左右する重要政策が動くタイミングを捉え、日経ビジネスLIVEでは2月27日、「成長と所得の好循環は起こせるか? 西村経済産業大臣と議論」と題するウェビナーを開催した。

日本経済の活性化に向け、「国内投資の拡大、イノベーションの加速、国民の所得向上という3つの好循環の実現を目指す」と訴えている西村康稔経産大臣が、日本が進むべき成長の道筋や政府の取り組み方針について語った。

(構成:森脇早絵、アーカイブ動画は最終ページにあります)

安藤毅・日経ビジネス編集委員(以下、安藤):本日は「成長と所得の好循環は起こせるか? 西村経済産業大臣と議論」と題して、日本が今後進むべき成長の道筋や政府の取り組み方針などについて西村康稔経済産業大臣にお話を伺います。西村大臣、よろしくお願いいたします。

西村康稔経済産業大臣(以下、西村氏):西村です。よろしくお願いいたします。

安藤:ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経過しました。エネルギーや食料価格の高騰などから、日本国内も物価高が大きな問題となっています。一方で気候変動対応も求められており、日本経済の低成長が長く続いています。

 経済政策を担当する西村大臣は、国内投資、イノベーション、所得向上の3つの好循環の実現を目指すと主張しておられます。この狙いについて解説いただけますか。

西村氏:新型コロナウイルス禍があり、ロシアによるウクライナ侵攻があり、気候変動への対応も課題です。さらに日本は少子高齢化や人手不足などが重なり、相当厳しい環境にあります。それらを打開するには、イノベーションを起こすしかありません。

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 日本は人材が技術を開発して、ここまで成長してきました。ということは、イノベーションを起こせば成長につながり、所得が向上する。次のイノベーションへの意欲も出てきます。この好循環をどう起こすか。まずは、イノベーションを起こすための思い切った投資が必要です。危機に備えて積み上げてきた内部留保を今こそ使うべきときだと。

 国内投資、設備投資を行い、人への投資を行っていく。すると賃上げも起こり、所得が上がることで消費も増える。新たな意欲でイノベーションを起こす。その3つ(国内投資、イノベーション、所得向上)が相互作用しながら成長していく。今、その好循環が起こりつつある状況です。

 賃上げは、多くの企業が前向きな表明をされています。危機を乗り越えていくために、イノベーションを起こしていく。そのための国内投資を進めていけるように、政府が後押ししていきたいと思っています。

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