報道各社の世論調査で、岸田文雄内閣の支持率が下がり出している。新型コロナウイルスワクチンの3回目接種の遅れなど新型コロナ対応への不満を背景に、主に無党派層の支持が離れ始めている。自民党内では物価高やウクライナ情勢など国内外の懸案への対応次第ではさらに支持率が低下しかねないとの警戒感が広がっている。

 昨年10月の発足以降、堅調な水準を維持していた岸田文雄内閣の支持率。それが報道各社の最新の世論調査では、陰りが見え出している。

 NHKが今月11~13日に行った調査では、岸田内閣を「支持する」と答えた人は先月より3ポイント下がって54%。「支持しない」と答えた人は7ポイント上がって27%だった。また、時事通信が11~14日に行った調査によると、支持率は前月比8.3ポイント減の43.4%だった。不支持率は同6.6ポイント増の25.3%。さらに、毎日新聞が19日に行った調査では、支持率は45%と前月調査から7ポイント下落する一方、不支持率は46%で同10ポイント増加し、支持率と不支持率が拮抗した。

強まるコロナ対応への不満

 ここにきて支持率が下落してきている要因として挙げられるのが、政府の新型コロナウイルス対応への不満だ。岸田首相は就任以来、菅義偉前政権の教訓を踏まえ、コロナ対応で「先手」の対応を強調してきた。

 例えば首相は海外で変異型であるオミクロン型が確認されると、2021年11月末から外国人の新規入国を原則停止した。この対応は日経新聞の12月の世論調査で88%の支持を受け、報道各社の支持率は軒並み発足時より上昇した。

 だが、こうした評価は大きく揺らいでいる。時事の調査では、新型コロナに対する政府の取り組みについて「評価する」は前月比6.3ポイント減の38.9%、「評価しない」は同6.5ポイント増の37.9%と賛否が割れた。毎日の調査では、「評価する」との回答は27%(前月31%)で、「評価しない」の51%(同39%)を大きく下回った。

 各社の調査内容からは、ワクチン接種間隔の6カ月への前倒しや1日あたり100万回接種の目標設定などが後手に回り、3回目接種が進んでいないことへの批判がうかがえる。新型コロナ対策の「まん延防止等重点措置」が各地で延長となり、感染の「第6波」が長期化していることへの不満も支持率の落ち込みにつながっている。

ワクチン接種間隔の前倒しなど新型コロナ対応で後手に回っていることへの不満が岸田政権の支持率に表れている(写真:AP/アフロ)
ワクチン接種間隔の前倒しなど新型コロナ対応で後手に回っていることへの不満が岸田政権の支持率に表れている(写真:AP/アフロ)

 もっとも、報道各社の世論調査では自民党の政党支持率は堅調を維持している。時事の調査では、自民党が前月比0.4ポイント増の26.0%で、野党第1党である立憲民主党の4.8%を大きくリードしている。

 それでも、自民の選挙対策関係者は「様々な世論調査を分析すると、無党派層や、保守浮動層の首相への支持が離れつつある。ここから踏ん張らないと、夏の参院選は厳しい結果になりかねない」と慎重な見方を示す。

 参院選までは守りに徹し、国会審議の遅れや世論の反発を招く案件は先送りする──。これまでこうした姿勢で政権運営にあたってきた岸田政権。2022年度予算案が2月22日に衆院を通過する見通しとなるなど国会審議はもくろみ通りスムーズに進んでいるが、対応が難しい国内外の問題に直面し、首相の悩みは深まっている。

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