臨機応変に「火種」を早めに消す対応で支持率が堅調な岸田文雄政権。本格化した国会論戦でも野党は攻めあぐねており、今のところ守りを徹底する首相の戦略は功を奏している。だが、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大に検査や診療が追いつかない状況が深刻化。自民党内では中国の人権状況に関する国会決議や世界文化遺産への「佐渡島の金山」(新潟県)の推薦を巡る対応などに不満が出ており、首相にとってはかじ取りが難しい局面を迎えている。
昨年10月に発足した岸田政権。衆院選での勝利を経て、これまでのところ内閣支持率は堅調に推移している。
共同通信が1月22、23日の両日に実施した全国電話世論調査によると、岸田文雄内閣の支持率は55.9%で、2021年12月の前回調査に比べ4.1ポイント低下した。一方、両日に実施した朝日新聞の調査で、支持率は昨年12月の前回調査と変わらず49%。同じく両日のフジテレビと産経新聞社の合同世論調査では、支持率は前回調査から0.5ポイント増の66.9%となり、高い水準を維持している。
支持率は堅調に推移
「首相は世の中の反応を敏感にキャッチし、ためらわずに物事を決め、批判があれば方針転換を図っている。そうした政策面での臨機応変な対応が好意的に受け止められているのだろう」
新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が急拡大する中でも支持率が安定している理由について、首相周辺はこう語る。
首相はこれまで、18歳以下への10万円相当給付の扱いを柔軟に見直し、オミクロン型感染者の濃厚接触者となった受験生に受験を認めない方針をすぐに事実上撤回するなど、「火種」を早めに消す対応を徹底している。
1月25日の衆院予算委員会では、21年9月以降に離婚したひとり親世帯に10万円を給付できない問題を巡り、首相は仕組みの見直しを表明した。立憲民主党が支給を求める法案を衆院に提出済みで、追及を受ける前に先手を打った形だ。国土交通省の統計不正問題でもおわびや「遺憾」を連発。低姿勢で問題の悪化を防ごうとしている。
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