中国外でも開発、役員に米国人

米司法省の訴訟に対するズーム見解。日本語のブログでも情報を提供している(出所:ズームのWebサイト)
米司法省の訴訟に対するズーム見解。日本語のブログでも情報を提供している(出所:ズームのWebサイト)
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 米中の対立が深まる中、コロナ禍が収まらず、Zoomの重要性は増すばかりだ。企業だけでなく、学校の授業にも活用され、米テキサス州ではZoomを使った陪審員裁判も始まっている。

 今回の司法省の提訴は、ズームに対して米中のどちらを取るのかの踏み絵ともいえる。

 ユアンCEOは中国から単身でシリコンバレーに渡ってきて、ビデオ会議サービススタートアップの米ウェブエックス(WebEx)にエンジニアとして入社。WebExが米シスコに買収された後、独立してズームを設立した。

 急成長を支えたのが主として中国にいる数百人の精鋭エンジニアによる開発だが、それを懸念する声も少なくない。20年4月には北米の参加者だけのビデオ会議の情報が、中国のデータセンターを経由することがあることを指摘された。

ズームの役員構成。ここ2~3年、米国人幹部の採用を積極的に進めている(出所:ズームのWebサイト)
ズームの役員構成。ここ2~3年、米国人幹部の採用を積極的に進めている(出所:ズームのWebサイト)
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 ズームは中国データセンターなどの問題を是正する一方で、通信の暗号化を強化。開発プログラムのソースコードについて定期的なレビューを行っていると説明する。また、米国、インド、シンガポールに開発のハブを設置したことを明らかにした。この2~3年は米国人役員を次々と採用している。

 米中のハイブリッド経営で急成長をしてきたズームだが、21年は立ち位置をより明確にすることが求められそうだ。

 司法省の提訴当日の18日には、米商務省がドローンで世界最大手の中国DJIを、安全保障上の問題がある企業であると公表。「エンティティー・リスト(EL)」に加えられた。DJIに電子部品などの米国製品を輸出する際には商務省の許可が必要となり、原則却下される。ドローンが米国内などで中国政府のスパイ活動に使われることが懸念されている。

 米国ではズームが本社を置くカリフォルニア州で、巨額の罰則金を科す厳格な個人情報保護法の運用も始まった。対象ユーザー数が多い場合、罰則金が巨額になる可能性もある。米中でビジネスを展開し、現地社員を雇っている日本企業にとっても他人事ではない。

この記事はシリーズ「市嶋洋平のシリコンバレーインサイト」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。