中村氏:SozoはカウフマンフェローズなどでVCのパートナーを育ててきたフィルがいて、そこで学んだ私がいます。それが特殊なネットワークの強みとなっています。

 カウフマンフェローズは入って卒業するのも難しいですが、さらにその中でも注目されないと評価されません。私は運もあったのですが、VCのグローバル化で先陣でした。国際展開といったら私に声をかけてね、というブランドを一生懸命作ってきました。スタートアップが日本やアジアに進出する際にSozoに相談してもらえるようになりました。

今回、Midas Listにランキングされたことで、企業などからの反応は変わりましたか。

中村氏:はい、海外の金融投資家からの問い合わせが来るようになりました。日本からは年金系の投資家からの問い合わせがありました。

 私に連絡が来る背景として、投資家が新たなVCと関係を作りたいと考えていることがあります。実はリストに入っている米国のVCの数は意外と多くありません。セコイアやベンチマークなどの有力VCから複数の人が入っていたり、中国のVCも結構多いからです。

 米国の有力スタートアップに投資したいと考えても、セコイアやベンチマークなどのファンドに新しく参加するのは難しい。そこで、私たちに連絡してくることもあるかと思っています。

投資はすぐに決めるものではない

Sozo Venturesの主な投資先スタートアップ
Sozo Venturesの主な投資先スタートアップ
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自身として投資先を見つけるためどのような点に注意していますか?

中村氏:VCは投資先についてあらゆることをチェックしないといけません。特別な出会いがあるということではありません。野球のスカウトと思えば分かりやすいです。ドラフト会議の前に初めて会うのではなく、小学生時代のリトルリーグからずっと候補者の試合を見てきていて、コミュニケーションもとっているのです。そしてしかるべきタイミングで具体的な話をしていきます。これは投資も同じです。シリコンバレーでは決断のスピードが求められると言いますが、すぐに決めるものではなく半年から長ければ2年はかけます。

 投資先を見いだすというよりも、そうしたスタートアップがいるコミュニティーにどう早くアクセスするのかがポイントです。自身のバリューを評価してもらえるのかも求められます。そうしていると選んでもらえるようになります。米国でも本当に優秀なベンチャーキャピタリストは上位数%です。我々もそうですが、後から入るとなるとそうした人に紹介してもらう必要があります。我々としても日本進出などのバリューを提供していきます。こうして認めてもらえて初めて「おまえだけ入れてあげるよ」となるのです。

 その企業を知っていても、必ず投資できるわけではないのです。米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズやコインベースへの投資では、こうして新たにSozoだけが入ることができました。

長い目で見て、ネットワークを重視しているということがよく分かりました。ただそうした工夫があっても、失敗はありますよね。

中村氏:1号から2号まで計33件の企業に投資をしましたが、完全にゼロになったのは約10%の3件です。一般にそうなるのは20%と言われていますので、我々のビジネスモデルは非常に失敗しにくいと言えます。

 投資の際には高値づかみをしないようにしています。いい会社への投資機会を割り当てられたとしても価格的にどうかなと思うこともあります。米国で最高の成果を出している企業でも、国際市場でうまくいかない場合もあります。そうすると投資額が過大評価になってしまいます。

 対象の業界が上り調子で過熱気味の時は値段が上がり気味になります。それで見送る案件も多くなります。2014年から16年は難しい時期でした。案件が高くて、投資を見送るものばかりでした。経済状況がフラットになると、高値づかみすることが少なくなります。

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