AIでは最高アルゴリズム責任者

 近年増えているのは、AI(人工知能)関連のCxO職だ。AIスタートアップを中心に「最高AI責任者(チーフAIオフィサー、CAIO)」を置く企業が出てきている。

 米サンフランシスコの衣料サブスクリプションスタートアップ、スティッチフィックスはAI戦略を担当する「最高アルゴリズム責任者(チーフ・アルゴリズム・オフィサー、CAO)」を置いている。同社は年間売上高が2000億円近くまで成長している。AIによる顧客へのコーディネートのレコメンド(推奨)、つまりアルゴリズムがカギを握っている。

 同社の初代CAOは米動画配信大手、ネットフリックスから移籍してきた人物で、2代目CAOは生え抜きだった。この2代目のCAOは最近転職し、米ニューヨークのフード関連スタートアップのCAOに就いた。

 リアルだけでなくデジタル上での顧客との接点が重要になる中、サービス向上に責任を持つ役職として「最高顧客責任者(チーフ・カスタマー・オフィサー、CCO)」も増えている。米ウォルマートは2018年に米アメリカン・エキスプレスの幹部だったジェニー・ホワイトサイド氏を招へいした際に設置。今回のコロナ禍では店舗でのピックアップなど顧客の要望に応じた買い物方法の導入に奔走した。

米ウォルマートの最高顧客責任者(CCO)のジェニー・ホワイトサイド氏(出所:米ウォルマート)
米ウォルマートの最高顧客責任者(CCO)のジェニー・ホワイトサイド氏(出所:米ウォルマート)
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 CCOは幅広い業種や規模の米企業で採用されている。例えば、IT企業の米ハブスポットなども同職を置いている。またIT企業の米ヴイエムウェアは「最高顧客経験責任者(チーフ・カスタマー・エクスペリエンス・オフィサー、CCEO)」を任命している。

 このほか米国では人事関連のCxO職も多様だ。最高ダイバーシティ責任者(チーフ・ダイバーシティ・オフィサー)、最高職場責任者(チーフ・ワークプレース・オフィサー)、最高幸福責任者(チーフ・ハピネス・オフィサー)といった具合だ。またカナダの寝具メーカーのピローパッカーピローズはカナダ製のダウンを利用した枕にこだわりを持っており、創業者がチーフ・ピロー・オフィサー(CPO)を名乗っている。

 「変な」CxO職は時流に対応したものが多く、社内外に会社が変革に向けて動いていることをアピールする効果がある。現在日本では、社員の役割や目標を明確にするジョブ型の人事体系の導入が始まっている。専門的な領域を担当するCxO職は経営のジョブ型ともいえる。デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、日本でも「変な」肩書が増えていく可能性がある。

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