米電気自動車(EV)テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が肩書を「テクノキング・オブ・テスラ」に変更して話題となっている。米国では経営層に対し、より明確な職を命名する動きが加速している。経営陣にもジョブ型が浸透し始めたとも言え、日本でも普及する可能性がありそうだ。

米テスラのイーロン・マスク氏は肩書を「テクノキング・オブ・テスラ」に変更した(写真:AFP/アフロ)

 米テスラのイーロン・マスク氏は2021年3月中旬に突然CEOからテクノキング・オブ・テスラとなった。CEOとしての地位は維持するものの、経営としてテクノロジーが必須であることを内外に示す狙いがあるとみられる。同社はEVだけでなく宇宙事業でも先端を走り続けている。

 同時にテスラのザック・カークホーン最高財務責任者(CFO)も「マスター・オブ・コイン」へと変更した。テスラは15億ドル(約1650億円)の暗号資産(ビットコイン)を購入しており、顧客がEVを購入する際にも暗号資産を利用できるようにする考えだ。CFOの役割は持ったままだが、社内と顧客に対し暗号資産を本格活用していくことを示したと考えられる。

英王子は「最高インパクト責任者」

 こうした経営陣の「奇妙な」肩書は、著名人を招く際に活用されることもある。

 最近話題になったのは英国のヘンリー王子が3月末、シリコンバレー企業の「最高インパクト責任者(チーフ・インパクト・オフィサー、CIO)」に就任したことだ。ITを活用してメンタルヘルス向上のアドバイスを与えるベターアップのCIOとして、コミュニティーの教育などを担当するという。

メンタルヘルス向上のアドバイスを与えるスタートアップ米ベターアップの最高インパクト責任者に就任した、英国のヘンリー王子(出所:米ベターアップ)

 ヘンリー王子はベターアップのブログで「最高インパクト責任者として、メンタルヘルスの擁護と意識を高め、ベターアップの社会的使命を導いていきたい」と語っている。

 ソフトバンクグループが出資したことでも知られる保険スタートアップの米レモネードは2016年、顧客理解を進めるため、行動経済学の権威である米デューク大学のダン・アリエリー教授を招へい。「最高行動責任者(チーフ・ビヘイビオラル・オフィサー、CBO)」の職を用意した。

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