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 配送料を巡り「楽天市場」の出店者、さらに公正取引委員会と対立する異例の事態を引き起こした楽天。そこにあるのは、「虐げられる出店者」と「意固地になる楽天」という単純な構図だけではない。一連の問題から見えたのは、「中小店舗をエンパワメントする」という楽天の理念が、いつの間にか薄れつつあることではないだろうか。

送料の一律無料ライン導入は公正取引委員会も問題視した(写真:アフロ)

 「何が何でも成功させたい」──。2020年1月に出店者を集めた「新春カンファレンス」で、楽天の三木谷浩史会長兼社長は一律送料無料ラインの導入についてこう語った。一部の出店者から反対の声が上がり、公取委が「優越的地位の乱用」にあたるかどうかを調査すると表明していても、強気の構えを崩さなかった。送料も含めた物流全体の競争力を引き上げなければ、アマゾンジャパン(東京・目黒)には勝てない。そんな焦りともとれる姿勢が垣間見える。

 楽天市場のユーザーなら経験があるかもしれない。商品を注文した際に、店舗ごとに送料が異なるのだ。例えば「ゴルフシューズ レディース」と検索してみると、「送料無料」としている店舗ではある商品が1つ8750円で出てきた。一方、別の店舗では同じ商品が8200円で売られているが、送料は550円。購入者が支払う合計金額は同じだが、配送料の有無や金額によって本体価格が安く見える。商品価格を安く見せ、高い配送料で稼ぐ店舗の存在も問題視されていた。「配送料がわかりづらいことが消費者離れを招く理由の1つだった」(楽天)。