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 安倍晋三首相が8月28日、辞任する意向を表明した。7年8カ月に及ぶ歴代最長政権を可能にした要因として、内閣人事局の創設など官邸の権限強化は大きい。一方で、政権の後半には、霞が関の人事権を掌握した副作用も目立った。学校法人森友学園(大阪市)を巡る財務省の公文書改ざん問題をはじめ、霞が関には官邸に対する忖度(そんたく)がまん延するように。自治省(現総務省)出身で、後に総務相も務めた早稲田大学公共経営大学院教授の片山善博氏に、安倍政権下での官邸と霞が関の力関係の変化や、次期政権の課題について聞いた。

片山善博(かたやま・よしひろ)氏
1951年岡山市生まれ。74年東京大学法学部卒業、自治省(現総務省)に入省。自治大臣秘書官、固定資産税課長などを経て、99年鳥取県知事(2期)。2007年4月慶應義塾大学教授。10年9月から11年9月まで総務相。同月慶應義塾大学に復職。17年4月から現職。 『民主主義を立て直す 日本を診る2』(岩波書店、2015年)など著書多数。 (写真:竹井 俊晴、2019年4月撮影)

安倍晋三首相が辞任を表明しました。

片山善博・早大公共経営大学院教授(以下、片山氏):辞められるのがちょっと遅かった印象ですが、だらだら続けられるよりはよかったと思います。

 新型コロナウイルス対策という課題があるにもかかわらず、野党の求める通常国会の会期延長や臨時国会の早期招集を拒否していた。野党との論戦を避ける傾向は以前からありましたが、今回はとりわけそうした姿勢が強かった。体力気力が萎えていたのかなと思います。

「地方分権」今では誰も口にしない

安倍政権の7年8カ月を振り返って、どのような印象を持たれますか。

片山氏:この7年8カ月で霞が関の官僚機構はガタガタになってしまいました。官僚機構は国民の一つの財産なのでこの立て直しは急務です。

 また、地方自治にも課題を残しました。制度改正こそしませんでしたが、中央集権的な傾向はかなり強まりました。「地方分権」といった言葉は今では誰も口にしません。地方創生についても、今回のコロナ対策についてもそうですが、中央が地方をこと細かにコントロールしようとして、うまくいかないケースも多い。

 霞が関の官僚機構がのびのびと仕事ができる。地方のことは自主的に地方が運営する。次の首相にはこの2点を実現してほしい。

官僚機構がガタガタになったのは、内閣人事局の創設が理由でしょうか。