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ふるさと納税をめぐり最高裁にまで持ち込まれた総務省と大阪府泉佐野市との争いに決着がついた。2008年の制度開始以来10年余り、紆余曲折(うよきょくせつ)がありながらも5000億円超の巨大市場に成長してきたふるさと納税だが、制度をめぐっては「被災地支援のツールとして有効だ」「自治体が財源確保に知恵を絞るようになった」といった意見がある一方で、「官製カタログショッピング」「ゾンビ企業を増やすばかり」といった意見もあるように、評価が定まらない。最高裁判決を一つの区切りに、ふるさと納税や地域経済に詳しい神戸大学大学院経営学研究科の保田隆明准教授に制度の意義や今後の見通しについて聞いた。

保田隆明(ほうだ・たかあき)氏
1998年早稲田大学商学部卒業、リーマンブラザーズ証券、UBS証券での勤務を経て、起業。同事業売却後、金融庁金融研究センター専門研究員、小樽商科大学大学院商学研究科准教授、昭和女子大学准教授を経て15年9月から現職。19年8月よりスタンフォード大学の客員研究員として米国シリコンバレーでソーシャルファイナンスを研究中。博士(商学)早稲田大学。(写真:竹井 俊晴)

最高裁でふるさと納税をめぐる国と泉佐野市の争いに決着がつきました。

保田隆明・神戸大学大学院准教授:ふるさと納税を発展させたい総務省と、発展すればするほど恩恵を被る自治体という構図でいけば、思いは共通なのにもかかわらず、いざこざが絶えませんでした。やっと、すべてのステークホルダーの利害がある程度一致して、これから同じ方向を向いて動き出すのかなという印象です。

制度開始から10年余り。ふるさと納税はどういう発展段階を経てきたと言えますか。

保田氏:制度の根幹をどこに置くかで議論は変わってきますが、私は都市部と地方との間でヒト、モノ、カネの巡りをよくすることによって地方の経済を活性化するというのが根幹だと思っています。そのためにはまず制度そのものが広く知られる必要がありました。

 前半の5年間は、認知度向上に一生懸命でした。マーケティングで言うところのアテンション(認知・注意)を獲得するのに必死でした。アテンション獲得のために返礼品が大々的に登場し、次にインタレスト(興味・関心)を獲得する段階になると、この制度はなにかおかしい、いびつなところがあるねといった話が出てきました。そこで、そうした問題点をいろいろと修正して、ふるさと納税業界全体のガイドラインを作ってきた。結果的にではありますけど。それが後半の5~7年間になると思います。

ガイドラインができる過程で、泉佐野市のケースに代表されるように、国と地方の争いが顕在化したように思います。