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 国がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したことを巡り、最高裁にまで持ち込まれた争いは、市側の逆転勝訴で決着した。ただ、判決は国の除外決定を違法としつつも、補足意見で約1000種類にも上る返礼品のラインアップやおまけにアマゾンギフト券を付ける特典を喧伝(けんでん)し、突出した額の寄付を集めた同市の姿勢を非難。「市側の勝訴となる結論にいささか居心地の悪さを覚えた」と表現している。

関西国際空港と泉佐野市。関空を巡る市と国の行き違いが対立の遠因になった(写真:アフロ)

 ふるさと納税の制度発足から10年余り。ここ数年は総務省と泉佐野市との争いが世の中を騒がせてきた。過熱する返礼品競争を抑えようと総務省が発出した通知に大半の市町村が応じる中、同市は法的な強制力がないとして取り合わなかった。2019年6月からの新制度で返礼品に規制が持ち込まれることが分かると、「閉店セール」と銘打ちかえって募集を加速させ、直前の18年度には全国の寄付総額の1割弱にも相当する約498億円を集めた。

 なぜ泉佐野市は国と対立してまでふるさと納税にのめり込んだのか。背景には沖合に浮かぶ関西国際空港がたどった紆余曲折(うよきょくせつ)がある。

 ゼロから埋め立てて人工島を造るという、壮大な土木工事を経て、関空が開港したのは1994年のこと。連絡橋で結ばれ玄関口となる泉佐野市は開港に合わせ、国際交流都市を夢見て大型の公共投資を進めてきた。しかし、折あしくバブル崩壊で長期不況に突入。企業誘致は遅々として進まない。地価下落に加え、空港自体も当初計画よりも小規模でのスタートを余儀なくされ、固定資産税収も見込みを大幅に下回った。