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 東日本大震災からの復旧・復興需要や、東京五輪・パラリンピックの関連工事、さらには大規模な金融緩和により東京都心の再開発が活発になったこともあって、建設業界は活況に沸いてきた。ただ、人口減少に伴う国内の建設需要の縮小は避けられず、建設技能者の高齢化も課題だ。直近では、新型コロナウイルスの感染拡大による影響も大きな懸念材料となっている。建設業をどう持続可能な産業にするのか。ゼネコンの業界団体である日本建設業連合会(日建連)の山内隆司会長に話を聞いた。
(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナウイルスの感染が拡大しています。景気全般の先行きをどのように見ていますか。

日本建設業連合会の山内隆司会長(以下、山内氏):間違いなく景気は後退するでしょう。思わぬこと、予測できないことが起きてしまうというのがやはり一番困る。経団連の副会長も務めているので、他業界も含めて各社の話は聞いています。かなり広範囲に影響が出ていて、私も危機感を強めています。

山内隆司氏(やまうち・たかし)
1946年生まれ。1969年に東京大学工学部建築学科を卒業し、大成建設に入社。2005年に同社取締役、07年に社長、15年から会長。17年から日本建設業連合会の会長、日本経済団体連合会の副会長を務める。(写真:竹井俊晴、以下同)

 社内ではまず、財務担当の副社長にキャッシュを手厚くするように指示しました。帳簿上は黒字で金があるはずだといっても、手元に金がないのはまずい。備えるのに越したことはありません。

中国からの輸入が停滞している影響で、トイレの衛生陶器が足りないなど資材不足が起き始めているとも聞きます。足元ではどんな悪影響が出ていますか。

山内氏:引き渡す建物にトイレの衛生陶器がついていない。事実としてそういうことが起きています。建設業というのは自動車と同じで、一種のアセンブリー(組み立て)産業。いろいろなところから資材を調達して、それを納品してもらって組み立てる。資材が定時に入ってこなければお手上げです。建物が完成しても、トイレがない、空調設備がなくて冷暖房が入らないというのではどうしようもありません。発注者に迷惑をかけないよう万全の対応をしないといけません。

資材不足で工期が遅れ、引き渡し時期も遅れるといった心配はありませんか。

山内氏:衛生陶器のほかに、例えば石材なんかも多くは中国で加工されています。ただ、発注者にとって、中国から建設関係の設備や資材が入ってこないというのは関係のない話です。契約工期通りにやってくれとおっしゃるでしょうから、間に合うべく最大限の努力をしていきます。こういった思わぬ事態が起きているので、理解していただければ一番ありがたいですが、なんといっても契約をしているわけですから、それに間に合うように最後の最後まで頑張るより仕方がありません。