ゲームユーザーの保護に向けて、ライバル同士が手を結んだ。米マイクロソフト(MS)と任天堂、米ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は2020年12月14日(現地時間)、ゲームの安全性向上に向けて横断的に協力していくことを明らかにした。

 現在のゲームは、インターネットで対戦したり、協力してゲームを進めたりするなど、ユーザー同士の交流を伴うプレーが一般的。ゲームのプレー動画や、プレー中のゲーム画面をキャプチャーし、SNSに投稿して共有するのも当たり前になっている。

 ユーザーはテキストチャットやボイスチャットを通じて互いに意思疎通し、ゲームを円滑に進める。話題はゲームにとどまらない。子供から大人まで幅広い年齢層のユーザーが知り合いや友達などと交流するツールとなっている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出制限などにより、対面で人に会うことが難しくなったことでこの傾向が強まり、ゲームが新たなSNSとして台頭しつつある。

 「フォートナイト」シリーズや「あつまれ どうぶつの森(以下、あつ森)」といった人気ゲームをプレーしながら雑談する。そんな生活様式が定着しつつある。シリコンバレー支局周辺の住人からも、小学校高学年から中学生の子供が学校で会えないぶん、ゲーム内のチャットで友人と頻繁に話すようになったという話をよく耳にする。

 新たな交流基盤として成長しつつあるゲームだが、ユーザー数やプレー頻度が増えるほど、現実社会と同様にユーザー同士のトラブルも起きやすい。このトラブルからユーザーを保護するのが3社の目的だ。特に子供などの若年層の保護に重きを置く。

 例えば、子供のゲームプレーを保護者が管理しやすくする機能を実装する。保護者やプレーヤーなどに対して、ゲームの安全性を高めるツールの情報をさまざまなチャネルを通じて提供する。こうした取り組みは、これまで各社それぞれが自社のゲームプラットフォーム(基盤)で実施してきた。業界団体でもユーザー保護の施策を講じている。それでも、一層のユーザー保護のために、3社はタッグを組んだ。ユーザーにとって、3社間でゲームの安全性向上に向けた機能や仕組み、それらの利用法が統一されれば、必要なときに使いやすくなる。

本格的なSNS化の前に対策

 3社が手掛けるゲーム機のユーザーは世界で約3億人とされる。だが、スマートフォンやパソコン向けゲームをプレーするユーザーなどを含めた世界のゲーム人口は約30億人と目されている。ユーザー保護は、ゲームプラットフォーム間の競争領域ではなく、市場のさらなる成長に不可欠な協調領域との判断したのだろう。

 30億人はフェイスブックの登録ユーザー数に比肩する。20年夏、フェイスブックは人種差別を助長するコメントやヘイト(憎悪)表現などの拡散防止に適切な処置を実施していないとして問題が深刻化。大手企業を中心に400社ほどが広告出稿をボイコットした。ブランドイメージを毀損しただけでなく、経営もダメージを受けた。コメントを投稿するのはユーザーとはいえ、プラットフォームを運営する同社に批判が集中した結果だ。

 こうした反省を踏まえ、フェイスブックはその後、問題になるような不適切な情報や不正確な情報などの投稿へ規制を敷いた。米大統領選では、投票日前から投票日後もしばらく政治広告を掲載しない方針を定めている。

 ゲーム業界は、「ゲームのSNS化」が本格化する前に、同じ轍(てつ)を踏まないように、今回のような取り組みを発足させたのだろう。3社の取り組みの詳細は現時点で不明だが、声明文で目を引く点が2つある。1つは司法機関との連携強化だ。例えば、ゲーム中の不適切な行為やゲームの規約に違反する行為などをするプレーヤーに対して法的措置を取ったり、こうした行為を司法機関に通報したりするという。違反行為に対して、毅然とした態度で臨む姿勢を見せている。

 もう1つは、ユーザー保護に向けた技術に積極的に投資すること。悪質行為や違反行為などを通報するツールの利用を奨励するとしている。こうした通報ツールやユーザー保護の機能に対して、積極的に資金を投じていくとみられる。

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