電気自動車(EV)メーカーの米テスラが2021年10月、テキサス州で独自の自動車保険を始めた。ドライバーの運転行動を数値化したスコアを基に月ごとの保険料を定めるという。日本でも一部の保険会社が始めている「テレマティクス保険」との違いはどこにあるのか。

テスラ「モデル3」の車内
テスラ「モデル3」の車内

 「今後、保険が重要な部分を占める。自動車事業のバリューの30~40%が保険事業になるだろう」

 11月6日に「保有するテスラ株の10%の売却を提案する」とツイッターに書き込んで賛否の投票を募り、実際に売却手続きを始めたテスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)。そのマスクCEOが1年ほど前に語っていたのが、自動車保険が自動車メーカーにとって重要になるという未来だ。

 その一端を見せる保険サービスをテスラが10月にテキサス州で始めた。ドライバーの運転行動を数値化した「安全運転スコア(セーフティースコア)」を基に、月ごとの保険料を算定する。スコアが高いほど安全に運転するドライバーとみなして保険料を安くし、スコアが低ければ保険料を高くする。これまでカリフォルニア州で同種の保険を提供してきた同社だが、安全運転スコアを基に保険料を月ごとに変更するのは初めてとなる。

 かつての自動車保険は、年齢や運転歴、車種、事故歴などを基にした等級で「保険料がほぼ決まっていた」(日本のある保険会社の社員)。そこに運転行動の情報を盛り込もうとしたのが「テレマティクス保険」だ。一部の保険会社は、車内に設置する専用の装置を貸し出したりスマホアプリを提供したりして運転行動を把握する取り組みを始めている。ただし、「従来の等級で決めた保険料が基本で、割引に利用するなど、まだ“おまけ”の範ちゅうから抜け出せていない」(同)のが現状だ。

 テスラの新型保険は、年齢や性別、事故歴といったドライバーの属性情報は利用せずに、安全運転スコアだけで保険料を算定する点が新しい。車両の詳細な走行データにアクセスできる自動車メーカーならではの自動車保険と言える。

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