自己を投影したアバターでインターネット上の仮想空間に没入する「メタバース」がぐっと身近になってきた。米メタプラットフォームズは大幅な小型・軽量化を実現する次世代VRヘッドセットのコンセプトモデルを発表。VR機器の主な活用をゲーム機に限らず、コミュニケーションツールとして万人に普及する未来を目指す。

米ヨセミテ国立公園内の湖の名を冠したゴーグルサイズのコンセプトモデル「ミラーレイク」
米ヨセミテ国立公園内の湖の名を冠したゴーグルサイズのコンセプトモデル「ミラーレイク」

 2045年が舞台となるSF映画「レディ・プレイヤー1」では、主人公が小型のVR(仮想現実)ヘッドセットを身に着けて仮想世界に没入する姿を描いた。そんな近未来がぐっと身近に引き寄せられるかもしれない。米メタプラットフォームズ(メタ、旧フェイスブック)は6月、これまで取り組んできたVR機器の技術開発の成果を一挙に披露。それら数々の技術の集大成として、次世代VRヘッドセットの開発コンセプトモデル「ミラーレイク」を紹介した。

 ミラーレイクは数年先の実用化を目指す技術を集大成したモデルだ。メタが公開した数多くの先端技術を目の当たりにすると「理想的なVRのハードウエアはもう少しで実現する」と感じさせられる。スキー用のゴーグルサイズに小型軽量化したVRヘッドセットならば、長時間の装着も苦にならないだろう。普及価格帯で発売できれば仮想空間でアバター(分身)を操作する「メタバース」市場の急拡大も期待できる。

メタが試作してきたプロトタイプの数々
メタが試作してきたプロトタイプの数々

 年間1兆円以上を投じてVRやAR(拡張現実)といったメタバース関連の研究開発を続けてきたメタも、VRヘッドセットの技術進化に自信を見せる。メタバース関連部門「リアリティーラボ」でチーフサイエンティストを務めるマイケル・エイブラッシュ氏は、「過去7年にわたって培ってきた先進的な映像技術のほぼ全てを試作機につぎ込んだ」と胸を張る。

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