前回、「都市封鎖、シリコンバレーも最初は『緩かった』」見たように、米国の中では新型コロナウイルス対策でいち早く動いたとされているカリフォルニアのシリコンバレーでも、人々の行動を変えることは一筋縄ではいかなかった。そこで威力を発揮しつつあるのが、データによる状況の可視化だ。

ソーシャルディスタンスの確保を求める立て札
ソーシャルディスタンスの確保を求める立て札

 例えば日経BPシリコンバレー支局があるパロアルトが属するサンタクララ郡の新型コロナに関するWebページでは、感染者数や死亡者数、検査数と検査後陽性の結果が出た数や割合などを公開している。驚いたのは、医療機関にある人工呼吸器の利用率まで公開していることだ。感染者の増加が著しいニューヨーク州では3月、人工呼吸器不足が盛んに叫ばれていた。そういった情報を目にすると、自分が重篤化したときに人工呼吸器は足りるのかと不安になる。利用率を見ることができれば、不要な心配をすることもない。サンタクララ群の場合、4月17日時点で利用率は22.64%ほどにとどまる。

画像の左下にある棒グラフの一番右が、人工呼吸器(Ventilator)の利用状況。オレンジ色が利用可能なものの比率(画像:サンタクララ郡Public Health DepartmentのWebページをキャプチャーしたもの)
画像の左下にある棒グラフの一番右が、人工呼吸器(Ventilator)の利用状況。オレンジ色が利用可能なものの比率(画像:サンタクララ郡Public Health DepartmentのWebページをキャプチャーしたもの)
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 加えて、不要不急の外出禁止やソーシャルディスタンスの確保などを求める「Shelter in Place」が、感染拡大の抑制にどれほど効果があるかをグラフで分かりやすく見せている。サンタクララ郡公衆衛生部門が4月7日に公開したのが、スタンフォード大学などと共に試算した結果だ。その試算によれば、仮に3月中旬からShelter in Placeを講じなかったとすると、5月1日にサンタクララ郡の感染者は5万人に達したという。

 同郡の人口はおよそ200万人弱とされるので、約40人に1人が感染する計算だ。地域や学校、学年によって人数が異なるが、1クラスの生徒のうち1人が感染していてもおかしくない。4月7日時点ではShelter in Placeによって感染者が小幅な増加にとどまっており、一定の効果が出ていることを示している。

Shelter in Placeを実施しなかった場合の新型コロナの感染者数予測(赤線)と、実際の感染者数(黒色の点)の比較。サンタクララ郡公衆衛生部門(Public Health Department)が示したデータ
Shelter in Placeを実施しなかった場合の新型コロナの感染者数予測(赤線)と、実際の感染者数(黒色の点)の比較。サンタクララ郡公衆衛生部門(Public Health Department)が示したデータ
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