欧州での半導体の製造や研究開発に合計330億ユーロ(約4兆5000億円)を投じる計画を2022年3月に発表した半導体大手の米インテル。22年に入ってから米国での新工場新設や同業の買収合意なども発表していた。かつての「王者」が投資を急ぐ背景には、半導体メーカー間の競争軸を変える狙いがありそうだ。

 「我々に賭けることが地政学リスクの回避策になる」

 2022年2月に開いた米インテルの投資家向け説明会で、パット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)は自社の価値をこう訴えていた。

 欧州への330億ユーロ超の投資を発表したのはその約1カ月後だ。170億ユーロでドイツ・マグデブルクに先端半導体の工場を新設するほか、アイルランド・リークスリップの既存工場に120億ユーロを追加投資して製造スペースを2倍に広げる。ドイツの新工場は27年に生産を開始する予定だ。

新棟の建設工事が進むアイルランドの工場
新棟の建設工事が進むアイルランドの工場

 このほか、イタリアでは後工程(シリコンチップをパッケージに収める工程)の工場を新設する交渉を始めた。インテルは今回発表した投資を、欧州に10年間で800億ユーロを投じる計画の第1段階と位置付けている。

 ドイツとアイルランドの工場のどちらも、インテルが設計した半導体の製造のほか、他社が設計した半導体の受託製造(ファウンドリー)も行う。独BMWのオリバー・ツィプセ社長が「インテルが最先端の製造能力を欧州で確立することを歓迎する」とコメントを寄せるなど、半導体の大型製造拠点が少ない欧州の企業や政府は歓迎ムードだ。

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