これはネット社会の闇に潜み、罪なき者を脅し、たぶらかし、カネ、命、平穏を奪わんとする捕食者たちの記録である。欲望に突き動かされたハッカーや詐欺師、国家の大義を背負ったサイバー兵士やスパイたちの物語だ。サイバー攻撃による経済損失は全世界で年間65兆円近くに達した。いつまでも無垢なままでいるわけにはいかない。ネットなしでは立ち行かなくなった危うい現代社会を直視する。(写真:Benjamin Torode/Getty Images)
シリーズ
吉野次郎のサイバー事件簿

20回
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ウクライナ支援のハッカー集団を直撃「鉄道狙いロシア進軍を妨害」
サイバー空間でロシアとウクライナの「代理戦争」が激化している。ベラルーシのハッカー集団はロシア進軍を妨害したと「戦果」を主張する。メンバーに組織の全貌を聞いた。
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プーチン氏、国際世論争奪戦で完敗 ゼレンスキー氏はSNSで英雄に
ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナが国際世論を味方に付ける上で、インターネットが絶大な威力を発揮している。ゼレンスキー大統領をはじめ多くのウクライナ国民が世界に窮状を訴えることができており、通信インフラの維持がいかに重要…
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トヨタの「弱い輪」が餌食に、サイバー攻撃で生産停止
トヨタ自動車は3月1日、国内14カ所にある全工場の稼働を停止した。主要取引先である樹脂部品メーカーの小島プレス工業(愛知県豊田市)でサイバー攻撃によるシステム障害が発生し、納品データをやり取りできなくなったのが原因だ。
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「ウクライナ情勢巡りサイバー空間緊迫」と米専門家
ロシアがウクライナに軍事侵攻した場合、どのようなサイバー攻防戦に発展するのか。米情報セキュリティー専門家が占った。
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米油送管停止でパニック、社会全体がサイバー犯罪者の「人質」に
サイバー攻撃で米東海岸の石油パイプラインが停止した。国家が運用するサイバー部隊のみならず、政治的意図を持たない民間のサイバー犯罪者までもが社会を混乱に陥れる時代に突入した。
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鹿島もキーエンスもサイバー恐喝被害、身代金を支払ったらダメか
鹿島建設やキーエンスがサイバー攻撃の被害を受けたことが相次いで発覚した。社外秘のデータを盗まれ、ネットにさらすと脅された。担当者は「身代金」を支払うかどうかの、選択を迫られている。
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核施設爆発でイラン激怒、イスラエル元工作員が明かすマル秘手口
イランの核施設でサイバー攻撃によると見られる爆発が起きた。イスラエルの元サイバー工作員が本誌の取材に応じ、手口を解説するとともに、日本企業に防御法を伝授する。
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あなたの隣の中国スパイ、マッサージ師も観光客も
中国のサイバー攻撃に協力していた疑いで、警視庁が中国籍の元留学生を任意聴取していたことが明らかになった。これは氷山の一角にすぎない。勤労者から観光客まで、中国諜報(ちょうほう)当局の協力者は日本社会に深く浸透している。
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LINE利用者を不安に陥れる「毛沢東思想」
LINEの顧客情報が中国の業務委託先から閲覧可能であったことが分かった。LINEは「不正はなかった」とするも、中国には当局の意向を受けて情報を盗む「サイバー民兵」が産業界の隅々に配置されている。LINEの委託先にも潜んで…
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「日本も標的だ」ロシア発サイバー攻撃の発見者が警告
欧米・アジア・中東の政府機関や企業から情報を盗んでいた世界的なサイバー攻撃が昨年末に発覚した。第一発見者の1人である情報セキュリティー会社、米ファイア・アイの副社長が今回取材に応じた。「日本も標的だ」と警告する。
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カプコン襲ったハッカー集団の正体、経営陣を「2重苦」で恐喝
新手のコンピューターウイルスが今春以降、世界的に猛威を振るっている。11月上旬にはカプコンが襲われた。実行犯を名乗るハッカー集団は社外秘のデータを盗み出し、ネットで暴露。「やめてほしければ金銭を支払え」と経営陣を追い詰め…
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東京五輪でサイバー攻撃謀ったロシアに何も言えない日本
英政府はロシア軍のサイバー部隊が、東京五輪の関係団体を狙っていたとして、名指しでロシアを非難した。だが狙われた当事者であるはずの日本は沈黙する。
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米テスラや三菱重工も標的、従業員の心を操るサイバー攻撃
米テスラの従業員を1億円で買収してサイバー攻撃に協力させようとしていた男が逮捕された。三菱重工業に対する攻撃では従業員が意図せず加担する形となった。サイバー攻撃の脅威は社内にも潜んでいる。
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北朝鮮フロント企業をEUが制裁、日本に潜む協力者
欧州連合(EU)は7月末、サイバー攻撃に関与したとして、北朝鮮のソフト開発会社に制裁を科した。今年2月にはソフト開発の受注に協力した疑いのある男が大阪府警などに書類送検された。日本で稼いだ外貨で、北朝鮮の金正恩委員長が兵…
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河井夫妻追い詰めたIT捜査、スマホで買収疑惑が丸裸に
いつどこで誰と会っていたか──。スマホの位置情報や、パソコンから消去したはずのファイルから、言動を白日の下にさらすデジタルフォレンジック(電子鑑識)が河井夫妻を追い詰めた。その恐るべき捜査能力に迫る。
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テラスハウス騒動で機運高まるネット中傷対策の危うさ
ネットで誹謗(ひぼう)中傷を受けた女子プロレスラーの木村花さんが5月に急死した問題を受け、総務省は対策の議論を加速させている。7月には有識者の研究会で方向性を取りまとめる予定だ。ただし誹謗中傷対策の強化はもろ刃の剣でもあ…
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ホンダを襲ったのは国家か犯罪者か、サイバー脅威が新段階に
ホンダがサイバー攻撃を受け、各国で生産の停止を余儀なくされた。工場や発電所などを標的にするのは国家が運用するサイバー部隊であり、民間のサイバー犯罪者は決して手を出さないというこれまでの常識を覆す騒動となるかもしれない。
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中国がネット広告“爆買い”で国際世論を操作、コロナ後の覇権狙う
中国国営メディアが新型コロナ危機で傷ついた中国の国際的イメージをSNSを通じて逆転させようとしている。西側諸国より統治システムが優越していると訴え、「アフター・コロナ」の覇権を狙う。背後で操っているのは中国共産党だ。
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「巣ごもり」鮮明 ネット通信量7割増、人出は激減
政府が4日7日に緊急事態宣言を発令してからインターネットの通信量が急増していることが分かった。外出せずに仕事や娯楽、買い物を自宅からネットでこなす人が一気に増大した。一部で「巣ごもり」需要が定着の兆しをみせている。
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「2度感染すると死ぬ」デマに踊らされる人々
欧州でペストが流行した14世紀、キリスト教徒の間で「ユダヤ人が井戸に毒を入れた」などというデマが広がり、多数のユダヤ人が殺害される悲劇が起きた。現代人は再びデマに踊らされてしまうのだろうか。
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回