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 ホンダは6月8日に受けたサイバー攻撃により国内外の工場で生産や出荷の中止を余儀なくされた。11日14時時点(日本時間)でも依然として米国とブラジルの計2工場で四輪車や二輪車の生産が止まったままだ。米国の工場は現地時間で11日中に生産を再開できそうだが、ブラジルの工場は再開のメドが立っていない。

 ホンダに大打撃をもたらした攻撃の実行者はまだ判明していない。それでも状況証拠から民間のサイバー犯罪者だった可能性が浮上している。工場などの産業機器を標的にするのは国家が運用するサイバー部隊であり、民間のサイバー犯罪者は手を出さないというこれまでの常識を覆す騒動となるかもしれない。

写真はイメージ(写真=Featurechina/共同通信イメージズ)

ファナックや米GE製品が標的

 ホンダは今回感染したコンピューターウイルスの種類を明らかにしていないが、攻撃に使われたと思われるウイルスを入手・分析した複数の情報セキュリティー専門家は「EKANS(イーカンズ)」の可能性を指摘する。

 EKANSの存在が初めて確認されたのは2020年1月だ。通常のウイルスはオフィスなどの情報システムを標的にしているのに対して、EKANSは工場や発電所、石油化学プラントなど使われる産業制御システムを標的にしているのが特徴である。ファナックや米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米ハネウェルなどの産業制御システムに不具合を引き起こす能力を備える。ホンダは「産業制御システムへの影響は確認できていない」(広報担当者)としているが、生産をストップさせることができたのは確かだ。