サイバー空間でロシアとウクライナの「代理戦争」が激化している。ハッカー集団が反ロシア派、親ロシア派に分かれ、それぞれが敵対視する国や企業にサイバー攻撃を仕掛けている。強権的なベラルーシのルカシェンコ大統領に挑む反体制派ハッカー集団「サイバー・パルチザン」は、反ロシアを掲げて参戦した。メンバーの1人である反体制活動家のユリアナ・シェメトヴェッツ氏に組織や活動の全貌を聞いた。

サイバー・パルチザンのユリアナ・シェメトヴェッツ氏
サイバー・パルチザンのユリアナ・シェメトヴェッツ氏

サイバー・パルチザンはロシア軍がウクライナに鉄道で進軍するのを妨害したそうですが。

サイバー・パルチザンのユリアナ・シェメトヴェッツ氏(以下、シェメトヴェッツ氏):そうです。私たちは2021年12月時点でベラルーシ国営鉄道のシステムに侵入していました。ロシア軍が合同軍事演習を名目にベラルーシ領内に部隊を派遣するとの噂があり、武器や兵員を輸送する鉄道システムに障害を発生させるタイミングを見計らっていました。そして実際にロシアが軍隊を派遣してきた22年1月に、1回目のサイバー攻撃を仕掛け、貨物列車の運行を妨害したのです。当時は軍事演習に参加したロシア軍がウクライナに進軍することよりも、そのままベラルーシ領内に駐留することを恐れていました。

 2月24日にウクライナへの侵攻が始まってからは、前回より大規模なサイバー攻撃を鉄道システムに対して実行しました。ベラルーシ国営鉄道は手動での運行管理を余儀なくされ、ロシア軍部隊のウクライナへの鉄道輸送を遅らせることに成功しました。ベラルーシ領にいたロシア軍は、国境からの距離が近いウクライナの首都キエフに向かっています。ウクライナ軍が首都の防衛態勢を整えるための時間稼ぎができました。私の知る限りでは、サイバー・パルチザンは依然として鉄道システムに侵入できています。

ベラルーシの一般市民を巻き込むサイバー攻撃は世論の反発を招き、結果的にルカシェンコ大統領を利することになる恐れはないですか?

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