英語圏には「鎖の丈夫さは、最も弱い輪によって決まる」という格言がある。18世紀の英哲学者トーマス・リードが随筆に書き残したとされる――。

トヨタ自動車は3月1日、国内14カ所にある全工場の稼働を停止した。主要取引先である樹脂部品メーカーの小島プレス工業(愛知県豊田市)でサイバー攻撃によるシステム障害が発生し、納品データをやり取りできなくなったのが原因だ。小島プレスの部品はトヨタ車の多くに使われていたことから、甚大な影響が出た。
小島プレスによると、攻撃の発信源などはまだ分かっていない。分かっているのは、トヨタの巨大なサプライチェーン(供給網)が、小島プレスという「最も弱い輪」によって寸断されてしまったということ。
1社でも情報セキュリティー対策に手抜かりがあれば、サプライチェーン全体が危うくなる。今回の騒動は、そんな現実を産業界に突きつけた。情報セキュリティー水準の底上げが急務だ。
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この記事はシリーズ「吉野次郎のサイバー事件簿」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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