グルメサイトの老舗ぐるなびが、変革に苦心している。11月4日に発表した2021年4~9月期決算は、22億円の最終赤字(前年同期は54億円の赤字)となった。新型コロナウイルスの「第5波」などで外食店の客足が戻らず、振るわなかった。

 緊急事態宣言の解除で一定の回復は期待できるものの、特に大人数の会食を中心に、客足の戻りは鈍い。外食業界全体が「コロナ前には戻れない」との危機感の下、経営モデルの再構築を急ぐなかで、ぐるなびもグルメサイト中心の「販促支援」から、「経営サポート企業」への脱皮を図る。ただ、ライバルは既に先行しており、いばらの道が待っている。

 「(グルメサイトによる販促支援という)本業は、市況に左右されてしまうということを、痛いほど感じた2年弱だった」

最終赤字を発表するぐるなびの杉原章郎社長(右)
最終赤字を発表するぐるなびの杉原章郎社長(右)

 ぐるなびが11月4日に開いた記者会見で、杉原章郎社長はこう振り返った。コロナ禍でグルメサイトを通じたインターネット予約が減り、手数料収入が前年同期を下回った。緊急事態宣言の再発令で、月額固定のサービス手数料も低調だった。

 21年3月期の97億円の赤字に対し、22年3月期の業績予想は、「感染第6波の懸念」「忘年会シーズンの動向見極めが重要」などとして未定とした。大和証券は45億円の赤字と予想している。

 ぐるなびはコロナ前から収益力低下に悩まされていた。ネット予約の増加や、グーグルやSNSなど外食店を検索するツールの多様化に対応しきれず、「送客力の著しい低下」を招いた。19年3月期の最終利益は5億円と、18年3月期の31億円から大きく目減りしていた。そこにコロナ禍が重なり、得意としていた繁華街やオフィス街の外食店における宴会需要も落ち込んだ。

 外食向け予約システムを提供するトレタ(東京・品川)が、サービス導入先の約1万店舗の状況を集計したところ、11月1~7日の人数別の来店人数(19年と比較)は、「1~2人」が約97%、「3~4人」が約95%と回復したが、「5~6人」は約76%、「7~8人」は約61%、「9~10人」は約43%、「11人以上」は約24%にとどまった。緊急事態宣言の解除後も、宴会など大人数需要の回復は大きく遅れている。

 

 ライバルのグルメサイト大手の「食べログ」も苦しく、運営するカカクコムは22年3月期の最終利益を161億円から146億円に引き下げた。だが、食べログの有料加盟店は9月時点で5万8500店と、6月の5万5800店から持ち直した。昨年に導入した、固定料金なしの従量料金プランが浸透した。

 対するぐるなびは9月の有料加盟店数は約6万1000店と、6月末の5万4000店に比べて増えたが、7月に楽天グループから事業承継したデリバリー事業の利用店約9000店が加わったためだ。コロナ禍で外食店のコスト意識は高まり、コロナ前から続く「食べログ1強」がより鮮明になりつつある。

 この苦境をどう打開するのか。杉原社長が見いだす活路が、飲食店の「販促支援」から「経営サポート」へのモデルチェンジだ。

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 1996年にグルメサイトを開設した老舗としての知名度と信頼度をてこに、外食経営に役立つデジタルサービスの導入を仕掛ける。具体的には、食材仕入れの「ぐるなび発注」、デリバリーの「楽天ぐるなびデリバリー」、クラウド型POS(販売時点情報管理)レジの「ぐるなびPOS+」、決済の「ぐるなびPay」だ。将来的には、デリバリーに特化した店舗「ゴーストキッチン」などを対象に、メニュー開発の支援にもサービスを広げる。目指すのは、「ぐるなびに任せておけば経営は楽になる」というポジションだ。

ぐるなびの決算説明会資料から
ぐるなびの決算説明会資料から
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 グルメサイトでも、「今すぐ入れるお店」の検索機能を加えて使い勝手を高めるほか、年末の忘年会シーズンに大きな問題になる「無断キャンセル」向けの保険を導入するなど、販促機能を強化する。

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