新型コロナ禍で外食経営の成功の方程式は崩れ去った。立地、集客、人材戦略、店舗形態などあらゆる点で見直しが迫られている。
特に重要性を増したのが常連客づくりだ。一人ひとりの外食頻度が下がった今、「ファン」が外食店の経営を支えているが、これまで主要な来店促進手段だったグルメサイトは新規集客に効果はあっても常連客確保には不十分だ。外食店が常連客をつかみ、再来店を促す仕組みをどのようにつくればいいのか。
定額制コーヒースタンド「coffee mafia(コーヒーマフィア)」や、完全会員制の焼かない焼肉屋「29ON(ニクオン)」など、新たな外食モデルを展開するfavy(ファビー、東京・新宿)の高梨巧社長に聞いた。
リアルな看板や目立つ立地では、「認知」が取れない
新型コロナ禍で外食経営のセオリーが大きく変わっています。現状を、どう捉えていますか。
高梨巧favy社長(以下、高梨氏):従来は、立地の良い場所で目立つ看板をでかでかと出して、歩いている人の目を引いて「認知(興味)」を獲得し、来店を促してきました。
しかし、コロナで外出自体が減り、リモートワークで会社に出てこない人が増えると、「帰りに飲みに行こうぜ」ではなく、めいめいお店に集合することになる。みんなスマホで店の場所を確かめつつ、歩くことになりますよね。

1981年生まれ。19歳でウェブ制作会社を起業し、2002年より広告会社アイレップに参画。検索エンジンを活用したマーケティング(SEM)など運用型広告に携わった。15年にfavyを設立し「飲食店が簡単に潰れない世界」をつくるべく、飲食店のDX(デジタル・トランスフォーメーション)に挑戦している。「コーヒーマフィア」などサブスクリプション(定額課金)型の外食店経営でも知られる
今までリアルな看板や立地で獲得してきたお店の認知は、SNS(交流サイト)の口コミやリターゲティング広告など、EC(ネット通販)のマーケティングに近づいていくと思っています。
ネットで認知を取り、常連客になってくれそうな人に効果的な広告を流せれば、立地に代わる新たな武器になるかもしれませんね。
高梨氏:外食店は「常連客が大事」といいながら、常連客の詳細を把握できていません。顔と名前が分かっても、連絡先を整理した顧客台帳ができていない。さらにいえば、その人が本当に「上客」かどうか、分かりません。
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