新型コロナ禍により事業継続の危機にさらされている観光業や運輸業、飲食業などを救済するため、政府が打ち出した需要喚起策「Go Toキャンペーン」。国内旅行商品の代金の半額を付与する「Go Toトラベル」は、感染が再び増える中での事業開始となったため、議論を呼んでいる。
一方、需要が激減している外食店を支援する「Go Toイート」事業は、グルメサイトの草刈り場に成り果てようとしている。
外食店をオンライン予約した来店客に、次回の食事の支払いに使えるポイントを付与して需要を取り戻そうという事業だが、オンライン予約システムとポイント制度を併せ持つ事業者は、事実上、大手グルメサイトしか存在しない。
外食店の自社ウェブサイトからの予約や、電話予約、ポイント付与以外の割引などは対象外で、外食ベンチャーは参入を諦め気味だ。あまりにグルメサイトを優遇した制度設計に、外食店などから疑問の声が上がっている。
「(グルメサイトなど)一部先走っているところがあるので、やめてくださいというお話をしているところです」
7月22日、Go Toイート事業への応募を検討する事業者向けに、農林水産省は説明会を開いた。日経ビジネスの取材によると、「プロモーションはいつから始めてよいのか」という質問に対し、担当者はこうくぎを刺したという。
どのサイトを想定した発言かは判然としないが、食べログは説明会後の7月下旬、会員ユーザー向けに「Go Toイートでの飲食店利用意向調査」と題したアンケートメールを送信した(回答期間は7月28日~8月3日だが、8月3日時点で「上限に達した」として回答を受け付けていない)。
文面には「食べログでの予約がGo Toイートの対象になるかどうかは決定していない」と記載がある。農水省は事業者との契約が8月下旬になると見込んでおり、事業者の公募は8月7日まで続く。「フライング」にも見える調査は、グルメサイト側の相当な入れ込み具合を表している。
ある外食企業は、「新型コロナ禍で明日をも知れない外食企業は、余分なコストとして既にグルメサイトを解約している。郊外の外食店はそもそもグルメサイトを使っていないし、公平だろうか」と疑問を呈す。
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