グルメサイト「食べログ」を運営するカカクコムに対し、東京地裁は6月16日、損害賠償金3840万円の支払いを命じた。焼き肉・韓国料理チェーン店「KollaBo(コラボ)」を運営する韓流村(東京・港)が、「食べログが飲食店の点数を算出する方法を変えたのは独占禁止法に違反する」として2020年5月に起こした訴訟の判決だ。「隠れた名店」に光を当てることで国内最大のグルメサイトに成長した食べログ。判決が意味するものとは。

「食べログ」の点数を手がかりとして飲食店を探す消費者は多い
「食べログ」の点数を手がかりとして飲食店を探す消費者は多い

 「AI時代における巨大プラットフォーマーによるアルゴリズムを用いた行為について、独占禁止法違反の有無を争う極めて先駆的な訴訟だ」

 東京・霞が関の司法記者クラブで開かれた記者会見で、皆川克正弁護士はこう強調した。

 韓流村の訴状などによれば、経緯はこうだ。食べログは2019年5月、サイトに掲載している店舗の点数(評価)を算出するアルゴリズムを変更した。韓流村が運営する21店舗の点数は平均約0.2点、最大0.45点下がった。特に上位3%程度しか存在せず、人気店の目安とされる3.5点以上の4店舗の点数は、0.21~0.45減と大幅に下落。点数下落後、食べログ経由の来店客は毎月約5800人減少し、売上高は月額約2500万円も落ちた。

 韓流村が提出した裁判資料によると、19年3月時点の食べログの月間サイト訪問者は7000万人超。ぐるなび(約2800万人)、ホットペッパーグルメ(約4500万人)、Retty(約6800万人)を上回る国内最大のグルメサイトだった。グルメサイトに関して公正取引委員会が行った調査では、約83%の消費者が店選びで点数を参考にするとしており、食べログの点数は外食経営に大きな影響を持つと韓流村は訴えた。

 韓流村は「チェーン店の点数を下方修正するようなアルゴリズムの変更は、飲食店の公平な競争を阻害する」と強調。食べログが「優越的地位」を乱用し、独占禁止法に違反しているとして、売り上げ減とブランド毀損による損害の賠償金として6億円超を求めた。

韓流村が運営する焼き肉・韓国料理チェーン「KollaBo」の店舗前の様子
韓流村が運営する焼き肉・韓国料理チェーン「KollaBo」の店舗前の様子

 対する食べログはアルゴリズムの変更自体は認めたものの、韓流村がいう「チェーン店ディスカウント」があったかどうかは明確な回答を避けてきた。店選びには他のグルメサイトやグーグルマップなど複数の代替手段があるなどとして、独禁法違反に当たらないと反論してきた。

 東京地裁は判決要旨で「食べログの有料の会員登録をした飲食店の地位を継続することが困難になると、経営上大きな支障を来す。食べログが著しく不利益な要請を行っても、(飲食店は)受け入れざるを得ない状況にある」とした。アルゴリズムの変更はチェーン店である韓流村に対し、「あらかじめ計算できない不利益を与える」などとして、優越的地位の乱用による独禁法違反を認定した。

 カカクコムは即日控訴した。

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