3月21日、ようやく解除された緊急事態宣言。しかし首都圏では「リバウンド」の懸念から、外食店の午後9時までの時短営業が求められるなど外食業の緊急事態は終わらないままだ。

 この苦境において、注目が高まっているのが「デート需要」だ。2人という少人数で感染リスクが低く、リピーターに育てやすいこともあって、コロナ禍でも粘り強さをみせている。

 恋人探しと、行きたいお店の予約を同時に行う、マッチングアプリDine(ダイン)を運営するMrk&Co(マークアンドコー、東京・渋谷)の上條景介共同創業者兼CEO(最高経営責任者)に、「初めてのデートに選ばれる店」について聞いた。

Dineは「出会うまでの合理性×安心感」をテーマに、デートに行きたい外食店の選定と予約代行までを一気通貫に手掛けており、「グルメメディア」としての一面も持つ
Dineは「出会うまでの合理性×安心感」をテーマに、デートに行きたい外食店の選定と予約代行までを一気通貫に手掛けており、「グルメメディア」としての一面も持つ
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Dineはデートしたい相手と、一緒に行きたいお店を同時に選ぶのがユニークですね。

上條景介共同創業者兼CEO(以下、上條氏):一般的なマッチングアプリはマッチして互いを知るために幾度かメッセージのやりとりをしますが、Dineはここを徹底的に簡略化しました。実際に顔を合わせないと、その人がよいかどうか判断できないと考え、安全かつ合理的に出会えるサービスを設計しました。

 マッチングアプリで起きる「事故」は、男性がデートのお店を選ぶときに同僚や男友達と行くような店を選んで、女性に断られてしまうということです。値段が高い、安いではなくて、デートに向いているお店かどうかが肝心です。

 Dineはユーザーがプロフィル登録時に「デートで行きたい店」を掲載リストから選び、マッチングする際はお店を選んでデートを申し込むというスタイルです。日程調整やレストランの予約はほぼ自動化されています。

昨年夏に過去最高のデート数

コロナ禍ではデート需要も落ち込んだのではないでしょうか。

上條氏:2020年4月の緊急事態宣言で、9割のお店が休業しました。アプリユーザーを送り込むお店がなくなり、オンラインにバーチャルレストランを作りました。宣言が解除されると需要が戻ってきて、8月に過去最高のデート数を更新し、11月頃まで伸び続けました。

 サービスの認知度向上もあったと思いますが、1人当たりの利用頻度が伸びました。ユーザー数は11月頃にやっとコロナ前の1月の水準に回復したという程度でしたが、デート数は伸びました。

 コロナ禍で社会の不安が高まり、デートをしたい欲求も高まった。そして、緊急事態宣言でリアルなデートがしたくてもできない反動が、宣言解除で一気に出たのだと考えています。契約先の外食店から宴会需要は戻らないが、2人で来店するデート需要が明らかに増えたという声が届きました。

しかし、緊急事態宣言が再び発令されました。

上條氏:12月に勢いが鈍り始めて、21年1~2月は12月比で4割まで落ち込みました。ただ、以前は1割程度しかなかったランチデートが3割まで増え、残り7割は午後6時頃スタートの時短デートとなり、コロナ禍でもデートをしたいという根強さを感じました。

 カウンター席だけの小規模な店舗ですが、3月1~20日頃にDineのユーザーが50組ほど来店している例もあります。コロナ禍でも粘り強いデート需要を積極的に取り込もうと、東京・恵比寿で外食店を営業する事業者が、全室個室にした店を5月に初めて開業すると連絡してくれました。

<span class="fontBold">上條 景介(かみじょう・けいすけ)</span><br>大学在学中にブログ「がんばれ、生協の白石さん!」を開設。書籍化された同作は発行部数約100万部の大ヒット。2008年、ディー・エヌ・エーに入社。ソーシャルゲーム事業の立ち上げに参画した後、カナダスタジオ立ち上げのためバンクーバーに赴任。15年に同社を退職し、Mrk&Coを共同創業。Dineは16年に米国・カナダでサービスをリリースし、17年冬に日本の主要都市で展開を始めた。
上條 景介(かみじょう・けいすけ)
大学在学中にブログ「がんばれ、生協の白石さん!」を開設。書籍化された同作は発行部数約100万部の大ヒット。2008年、ディー・エヌ・エーに入社。ソーシャルゲーム事業の立ち上げに参画した後、カナダスタジオ立ち上げのためバンクーバーに赴任。15年に同社を退職し、Mrk&Coを共同創業。Dineは16年に米国・カナダでサービスをリリースし、17年冬に日本の主要都市で展開を始めた。

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