外食業界を共に盛り上げてきたグルメサイトと外食店の関係の変化を追ってきた本連載。掲載中の3月18日には、公正取引委員会がグルメサイトに関する調査報告書を発表し、「飲食店に対して取引上、優越的地位にあるといえる飲食ポータルサイトが存在する可能性は高い」と指摘した。外食店の味方だったはずのグルメサイトはやはり変わってしまったのか。食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメの3大グルメサイトの元社員らが赤裸々に語ってくれた。

参加者

元ぐるなびA氏:ぐるなびで外食店営業を担当。その後、外食グループに転じ、現在は水産加工品の営業職
元ホットペッパーグルメB氏:リクルートグループでホットペッパーグルメの営業を担当。現在はIT企業で営業職に就く
元食べログC氏:カカクコムで食べログのサービスを利用する外食店の支援業務などを担当。現在は他業界で働く

1996年に始まったぐるなびが切り開いてきたグルメサイト業界。今や、お店探しに欠かせない存在となった一方、食べログなどに押されてぐるなびはやや元気がないようですね。

A氏:危機的だと思いますよ。(2011年の)東日本大震災前後から、サイトパワー(集客力)は落ちてきていました。サービスを導入した外食店の客足が伸びるなど、効果が出ていればいいんですけど、出ていなかった。なので、外食店のために働いているという気持ちはなかったですね。

 社内で英雄視されていたのは、20席しかないカレー店から月20万円の契約を取った社員でした。しかし、そんな店は(売り上げに対する販売促進費が重すぎて)半年くらいで潰れてしまいますよね。営業担当はお店の経営ではなく、導入させるプランの金額しか考えていなかったと思います。

元社員たちはグルメサイトの将来を赤裸々に語ってくれた
元社員たちはグルメサイトの将来を赤裸々に語ってくれた

売り込む方も売り込む方ですが、カレー店も身の丈に合わないと分かりそうなものでは。

A氏:外食店は(広報宣伝や経営、ITの)リテラシーが低いからサイトの効果も分からないまま言いくるめられて、「印鑑ポンッ」って押しちゃう。外食店にリテラシーがあったらお金が取れないんでね。

C氏:ユーザー目線の食べログに比べて、ぐるなびは外食店に寄り添うイメージで、いろいろなコンテンツを用意していると思っていたので、かなりショックです。

B氏:外食店の人は職人気質が多いから、営業の情に流されてしまう面はありますね。

もしかして、Bさんも高額な契約を…?

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この記事はシリーズ「グルメサイトという幻」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。