グルメサイト業界で「1強」と称される食べログ。2005年の登場以来、外食店が支払う手数料次第で掲載順が変わる従来型サイトと対照的な「客観的な口コミ」がユーザーと外食店の信頼を勝ち取ってきた。しかし、その礎である評価の信頼が揺れ、飲食店は点数を追い求めることに疲れてきた。ユーザーも、インスタグラムやグーグルの新たな口コミ手段に流れつつある。
「点数が下がったと思ったら、『お金を払えば点数を上げる』と言われて断った」。19年秋、飲食店関係者のツイートをきっかけに、食べログの点数が操作されているのではないかという疑惑がSNS(交流サイト)で話題になった。19年10月10日、食べログを運営するカカクコムは、「『食べログ』に関する一部報道について」と題するプレスリリースを発表し、「飲食店向け有料サービスの利用の有無が点数・ランキングに影響を生じさせることは一切ない」と疑惑を否定した。

食べログの点数に関わる疑惑はこれが初めてではない。16年にも「飲食店が食べログのインターネット予約機能を使わないと点数が下がる」との疑惑が取り沙汰され、カカクコムは「点数はオンライン予約機能の利用に一切関係なく、ユーザーの評価を基礎に算出している」と説明に追われた。
カカクコムによると、点数は投稿の単純な平均ではなく、「食べログでの各種実績」によって投稿するユーザーの影響度は異なる。また評価された回数も関係する。投稿したユーザーの影響度が同じ場合、5点の評価が2件しかない店と、5点の評価が100件集まっている店では、後者の方が点数は高くなる。
こうした複雑な仕組みは、悪意を持って点数を操作する動きを防ぐ効果があるという。ある都内のレストランの従業員は、「オープン直後に点数を上げようと悪知恵が働き、自分たちで口コミを書いたが、思うようにいかなかった。点数は結構リアルなんだなと思った」と話す。
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