全3094文字

書店員が自由になるプラットフォーム

 田口氏が楽天ブックスネットワークに可能性を感じたもう一つの理由は、親会社の楽天と共同開発したスマホアプリ「Readee PLUS+(リーディープラス)」だ。書店で使えるポイントカードや新刊・キャンペーンの通知機能が含まれるアプリだが、中でも特徴的な機能が今年2月上旬に搭載した「書店員レビュー」。書店員や書評家など約50人が登録しており、出版社や著者への忖度(そんたく)なしで新刊書籍の書評を公開する。評価の高いレビュアーはトップに掲載され、レビューを通じた購買に応じてアフィリエイト(成果報酬型)収入を得ることもできる。

 「全国の、規模も地域も違う様々な書店で働く人々が本のレビューを書き、どこかの誰かが新しい本と出合うお手伝いをする。そんな『書店員によるネットワーク書店』を目指している」と田口氏は話す。

スマホアプリ「リーディープラス」では、新刊の発売日に書店員によるレビューが公開されることもある

 「ホワイエ」が書店員以外の人でも本を売ることを可能にする一方で、リーディープラスは書店員が書店の範囲を超えて活躍する道を開く。田口氏が目指すのは、新しいプラットフォームの上で本を愛する人が自由に切磋琢磨(せっさたくま)し、それぞれの方法で本や、本の情報を売ることができる世界だ。それは道半ばで終わったさわや書店時代の「新しい外商」を、別角度から実現しようとする試みだともいえる。

 「僕は『本屋』ではなく『本』の可能性を感じている」と田口氏は話す。従来型の書店からはみ出した新時代の書店員は、新たな活動の場を求めて自らプラットフォームをつくり始めた。