2022年12月21日、コンテンツ投稿サイトの運営を手掛けるnote(ノート)が東証グロースに上場した。同社サービスは月間利用者数(MAU)が4000万人に上り、高い人気を誇る。しかし、22年4月時点で300億円以上と想定された評価額は、公開価格ベースの想定時価総額では約50億円まで急降下。上場を機に、同社の特徴である「広告なし」のビジネスモデルの可否が株式市場で問われることになる。
ノートには日本経済新聞社が出資している。

「直近の株式市場は上場にあたって、よいタイミングではないという意見もあったが、長期的な視点で考えて上場を決めた」。上場した21日、東京証券取引所で開催した会見で、加藤貞顕最高経営責任者(CEO)は淡々と説明した。
上場当日の終値は、公募価格より29%高い439円だった。時価総額が一定程度回復した同社だが、黒字化のめどはまだ立っていない。21年11月期は、売上高が18億8400万円、営業損失が4億5600万円、純損失が4億3600万円だった。
ノートは音楽プロデューサーのつんく♂さんによる音楽解説、パナソニックホールディングスの楠見雄規CEOによる情報発信、大学教員による時事解説など、公開コンテンツ数2782万件(22年8月末時点)を誇る。文章や写真、動画などクリエーター(投稿者)コンテンツを利用者がネット上で気軽に共有することができる、ブログのようなサービスだ。
ブログとの大きな違いは、広告の掲載がないこと。広告がないシンプルなデザインが、多くの人にノートが選ばれる理由にもなっている。またコンテンツを販売できる仕組みもあり、情報を発信する側にとっても魅力となっている。
こうした設計の背景にあるのは、「今のインターネットは広告先行で始まり、いびつな形になってしまった」(加藤CEO)という問題意識だ。
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