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中間決算としては9年ぶりの最終赤字となった楽天。モバイル事業への積極投資が収益を悪化させた。「1年目は月額利用料無料」「1円で端末販売」などの積極策で利用者獲得は堅調のようだが、来期以降の収益化の道筋はまだ不透明だ。

楽天は「1円端末」などの積極策で利用者数を徐々に増やしてきた(写真:つのだよしお/アフロ)

 「赤字は予想していた。だが、その大きさは想定を超えた」。楽天をカバーするアナリストの多くが抱いた印象だ。

 楽天が11日に発表した2020年1~6月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が274億円の赤字となった。前年同期は米配車サービス、リフトの評価益もあり1002億円の黒字だったが、9年ぶりの赤字となった。

 赤字の主な要因はモバイル事業への投資やEC(電子商取引)事業向けの物流施設整備の投資が膨らんだこと。とりわけモバイル事業の営業損失は20年4~6月期に505億円となり、1~3月期の318億円の赤字から損失幅が拡大した。多くのアナリストはモバイル事業の赤字で連結業績も赤字になるとみていたが、損失の拡大幅が想定を上回ったようだ。

 11日に楽天が開いたオンラインでの記者会見で三木谷浩史会長兼社長は「基地局整備を前倒しで進めている」と強調。総務省に提出済みの「26年3月までに人口カバー率96%を整備する」という計画を5年近く早め、21年中に終えるための投資だと語った。

 ただ、膨らんだのは基地局の整備費用だけではない。楽天はモバイル事業の営業費用の詳細を明らかにしていないが、利用者獲得のために端末価格を割り引いて販売する販売促進費の増加もあったとみられる。4月のサービス開始以降、独自開発した小型スマホ「Rakuten Mini(楽天ミニ)」を1円で販売するなど、顧客獲得に向けた販売促進策を打ったからだ。19年10月に施行された改正電気通信事業法で認められる範囲ではほぼ最大限といえる割引で端末をばらまいた負担が重くのしかかる。