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 海外に比べて日本では浸透が鈍いフードデリバリー市場。ライドシェアの米ウーバー・テクノロジーズが手掛ける「ウーバー・イーツ」が勢力を拡大するなどして認知度が高まり、新型コロナウイルスの感染防止のための外出自粛要請によって、フードデリバリーの利用が増えるなど追い風も吹く。

 こうした環境下でLINEは3月26日に出前館に対して、グループで300億円を追加出資すると発表した。グループで出前館の株式の6割を握り、次期社長(6月就任予定)としてLINEは藤井英雄・執行役員 O2OカンパニーCEO(最高経営責任者)を送り込む。50人のエンジニアも併せて出前館に派遣し、一気呵成(かせい)に改革を進める。LINEは出前館の出資でどんな相乗効果を見込み、そして未来図を描くのか。

出前館次期社長のLINE藤井英雄・執行役員 O2OカンパニーCEO。(写真=的野弘路)

 次期社長となる予定の藤井氏は「市場としては5~10倍に伸びる可能性がある。EC(電子商取引)の中で、今後ここまで伸びしろがある市場はほかに見当たらない」と言い切る。

 出前館の決算資料によると、米国の大手デリバリー事業者の「グラブハブ」の年間取扱高は約6000億円で、全登録ユーザーに占めるアクティブユーザー(1年以内にサービスを利用したユーザー)の割合は6.2%、韓国デリバリー最大手の「配達の民族」を運営するウーワ・ブラザーズは取扱高5000億円を超え、アクティブユーザーの割合は18.2%にのぼる。一方、出前館は764億円で2.3%(19年8月期)といずれも見劣りする。