こうした点を格付け会社も注視している。S&Pグローバル・レーティングは2月に、楽天の長期発行体格付けと長期優先債券の格付けを、引き下げ方向の「クレジット・ウオッチ(CW)」に指定。4月9日にもCWを維持すると発表しており、現在の格付けである「BBB-」が引き下げられる可能性がある。

 ただ、楽天モバイルは20年4月から今年4月まで、「1年間無料」とするキャンペーンを実施したため、モバイル事業の赤字は続く。この4月からは、1年間無料だったユーザーの期限が終わり、有料へと切り替わるタイミングが始まっている。楽天モバイルの売りの1つが、「いつでも解約、解約金は不要」というものだ。いわゆる「2年縛り」のように、期間中に解約した場合の違約金も発生しない。ユーザーにとってはメリットがあるが、楽天からすればいつでも解約されるリスクでもある。競合が20GBで約3000円という新料金プランを3月に始めており、楽天モバイルの競争優位性は低下している。

 楽天モバイルでの収益化が難しい中で、いかに資金を確保するか。鶴尾氏は手段の候補として「保有する海外株式の売却」や「傘下のフィンテック企業のIPO(新規株式公開)」を掲げる。IPOは準備に時間がかかるため容易ではないが、対応策を示さなければ格下げリスクが高まってしまう。

 日米政府による監視と財務の健全性の確保。強まる監視網に対し、楽天には丁寧な説明が求められる。

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