「みなさまの今の体調をお聞きし、『感染拡大の状況を正しく把握し、私たちの生活を守ること』を目的に実施します」

 3月31日、あるいは4月5日にスマートフォンのコミュニケーションアプリ「LINE」に、突然このようなメッセージが届いた読者も多いだろう。厚生労働省がLINEの国内8300万ユーザーに対して行った、新型コロナウイルスの感染実態などを把握するための大規模調査だ。

 回答期間はわずか2日。それにもかかわらず初回は2453万ユーザー、2回目は初回を超える2467万ユーザーが回答を寄せた。単純計算すれば、国民の5人に1人が答えたことになる。

 前代未聞の短期間での大調査。LINEが厚労省と「新型コロナウイルス感染症のクラスター対策に資する情報提供に関する協定」を締結したのは調査前日の30日だった。感染拡大が深刻化し、緊急事態宣言が発令されるかどうかの瀬戸際で、企業と省庁のスピーディーな対応によって実施された大調査。その舞台裏とはどんなものだったのか。

 大規模調査を実施するには、それなりの時間が必要になる。だが、時々刻々と感染が広まる今、LINEに与えられた時間はごくわずか。このプロジェクトを指揮したLINEの江口清貴執行役員は「ほんの数日で準備した」と明かす。

 発端は25日のこと。「ダイヤモンドプリンセス号」の乗客向けにスマホを配り、LINEを活用して健康状態などを把握することで協力していた江口氏は、厚労省で担当者から感染拡大防止についての相談を受けていた。その中で江口氏は、LINEを使った大規模な調査を思いついた。

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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。