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Zホールディングスの川邊健太郎社長CEO(左)とヤマトホールディングスの長尾裕社長

 「万年突き放された3位といわれたが、2位や1位の背中がかなり近いところに見えている。20年台前半に日本市場のEC取扱高でトップになりたい」

 ヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)は3月24日、ヤマトホールディングス(HD)と物流分野で提携すると発表した。記者会見の冒頭、ZHDの川邊健太郎社長CEO(最高経営責任者)はこう語り、EC(電子商取引)事業拡大への意欲を見せつけた。目指すはECの巨人である「アマゾン」と「楽天」超えだ。

 マーケットプレイスへの出店数は、楽天市場の5万に対してヤフーショッピングは7.5万と数では上回る。ヤフーは13年に出店料とロイヤルティを無料化したことで出店数は勝っている。ただ、ECでの流通総額では後塵を拝している。各社が同一の基準で流通総額を公表していないため単純な比較は難しいが、業界では国内ECの流通総額はアマゾンと楽天に続き、ヤフーは3番手という位置付けだ。

 今回の提携はヤマトHDが持つ全国の物流拠点やネットワークを、ZHDグループが手掛ける「ヤフーショッピング」や「ペイペイモール」などのECプラットフォームに出店するストア向けにオープン化し、専用の新物流サービスを6月30日から始めるというものだ。

 ヤマトHDが出店ストアの商品在庫の保管から受注、出荷、配送業務までの全体を代行したり、その一部機能を代行したりするサービスで、中小や零細が多い出店ストアの出荷や配送の手間を省き、経営の効率化につなげるという。購入から受け取りまでの時間を短縮することで、「(注文した翌日に商品が届く)翌日配達率が飛躍的にアップする」(ZHDの川邊社長)ことで顧客満足度の向上にもつながるとしている。

 ZHDはあわせて、この新物流サービス利用ストアの商品を購入したユーザー向けに送料相当額を「ペイペイボーナスライト」の付与で還元する「実質送料無料キャンペーン」の実施を発表した。6月30日から12月までの期間限定だが、その際、川邊社長は「出店ストアには一切負担はかけない」と強調した。

 会見中、川邊社長は「現時点でストアに(コストを)負担いただいて、恒常的な送料無料を打ち出すことは考えていない」と語るなど、ことあるごとに出店ストアへの配慮を口にした。送料無料化策でごたつく楽天を意識してのことだろう。国内ECでアマゾンや楽天に次ぐ万年3位の座から脱するべく、“敵失”を突いた策で出店者を呼び込んで浮上を狙う。

ことあるごとに出店ストアへの配慮を口にしたZHDの川邊社長

 楽天の三木谷浩史会長兼社長は、自社物流網の整備に10年で2000億円を投じる考えを明らかにしている。一方、ZHDは昨年にアパレルECのZOZOを買収。さらに今秋をめどにLINEとの経営統合を目指しており、実現すればLINEショッピングなどECチャネルを多く持つことになる。ヤマトとの提携などで「ラストワンマイル問題」の解消に挑む。

 ただ、出店ストアがヤマトHDのサービス利用で支払う費用については「ストアによって異なる」(ヤマトHDの長尾裕社長)として詳細な価格設定の説明は避けた。費用が高くなれば、出店ストアの経営効率化にはつながらなくなる可能性もある。出店ストアと利用者に「便利さと安さ」を伝えることができるか。3番手の挑戦に注目が集まる。