都内のタクシー乗り場。利用客は従来よりも少なくなっている

 「売り上げは4割は落ちている。そもそも人が歩いてないんだもの」

 JR新橋駅(東京・港)で客待ちをしていた個人タクシーの運転手はこう嘆く。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うイベントの自粛やテレワークの推奨、観光客の減少によって、ビジネスと観光両面で人の動きが停滞。環境激変が都内のタクシー会社を直撃している。

 状況は大手も同様だ。国際自動車(kmタクシー、東京・港)の広報担当者は「影響は東日本大震災のとき以上。当時は昼のお客さんはそこまで変化はなかったが、今は昼も夜も少ない」と語る。日本交通(東京・千代田)の広報担当者も「3月は前年比で2割ほど落ち込んでいる」と、利用客が減少している状況を説明する。

 同社によると、新型コロナの感染報告が全国でも1日数人だった2月上旬は人混みを避ける顧客の利用などもあり、前年を上回る売り上げだった。それが、1日10人以上の感染報告が出始めた2月後半になると状況は一転。流しのタクシーを中心に利用客が減少し始め、3月になると前年同期を2割ほど下回る水準で売り上げが推移しているという。

車内の除菌や清掃を強化し、徹底ぶりをアピール

 とはいえ、都内を歩いてみると、駅周辺や繁華街など至るところに客待ちのタクシーは並び、流しの車両も従来とそれほど変わらなく目にする。複数のタクシー事業者に聞いてみても「稼働台数は特に変更していない」「どこも従来通り運用しているのではないか」という。旅客需要の低下に合わせて大幅な減便や機材の縮小を実施する航空業界や、特急列車などの減便を始めた鉄道業界とは対応が異なるようだ。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1230文字 / 全文1907文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「藤中潤の現代交通探訪」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。