職務経歴書は20代向けでシニアは使いにくい

 モチベーション曲線で自分のCanとWillを棚卸ししたら、「次は職務経歴書を書くことを勧める」(望月氏)。実際に転職するつもりがなくても、経歴書を書くことがCanとWillを整理し、まとめることにつながるからだ。

 ただし、ウェブで検索すると出てくる職務経歴書のフォーマットの多くは、転職市場の中心である20代から30代向けのもので、ミドル・シニア層には使いにくい。

 まず、若手向けのフォーマットのほとんどは営業やマーケティングの担当者を想定している。そのため、マネジメント経験を伝える欄がなく、かつミドル以上が在籍しがちな経営企画や商品企画、コンサルティング、法務などの職種がほとんど見当たらないのだ。

 望月氏はハイクラス人材向けのサービス「iX」を立ち上げた際にそれに気づき、ミドル以上向けの職務経歴書のフォーマットを作り始めた。現在は上記の職種を含め8職種が完成(リンク先下部からダウンロード可能)。「当社は職種を約1000に分解している。ゆくゆくはその全てについてフォーマットを作りたい」と話す。

 望月氏が作成したフォーマットは、それぞれの職種の業務を細かく分類して羅列してある点に特徴がある。例えば「経営企画」のフォーマットでは、業務内容として、

  • 中長期経営計画策定、事業計画策定、予算策定
  • 業績管理(月次、年次でのフォーキャスト管理)
  • M&Aの戦略策定、ファインディング、デューデリジェンス、条件交渉、クロージング
  • 新規事業の検討、立ち上げ
  • 組織体制の企画、人員異動・再配置
  • 取締役会の運営

 など、経営企画をブレークダウンした項目がずらりと並ぶ。自分で考えながら書くと抜けや漏れが出がちだが、こうした網羅性のあるフォーマットから自分が担当した業務を選んでいける。

 もう一つの特徴は、蓄積した経験をきちんと売りにできるように設計されている点にある。例えば「プロジェクトマネジャー」や「ITコンサルタント」のフォーマットでは、管理コストをどれだけ下げたかといった「実績」欄や「生かせる経験」欄などにボリュームを割いている。

 もっとも、こうしたフォーマットに沿って記入する前に、望月氏はミドル以上の職務経歴書について2つの留意点を説く。

 1つ目は、「職務の要約が非常に重要だ」という点。ミドル以上の人材の採用は、人事部門ではなく事業部門トップ級が直接担当している場合が多い。経営者が事業構造の変革を推進しており、その変革に最適な人材を事業部門の目で見るためだ。

 「多忙を極めるトップは冗長な職務要約など見ない。自分には何ができて、かつその能力と会社が進むべき方向が一致していることを簡潔に書く必要がある」(望月氏)

 もう1つは、「職務にメリハリをつけること」だ。ミドル以上の人材は部署間異動や転職などの経験が豊富で、ついつい全ての職務について平等に書き連ねたくなる。それではCanやWillが伝わりにくいので、モチベーション曲線で内省した自分の傾向やこれから関わりたい仕事に照らし合わせ、最もアピールしたいスキルや経験に厚みをもたせることが肝心だ。

 モチベーション曲線とミドル以上向けの職務経歴書という2つのワークシートを通して、キャリアを棚卸ししてみよう。

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